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ミスタートムの開村式での演説

「ポーラ。明日は、いよいよ開村式だ。」

「ミスタートム。おめでとう。あなた、とても頑張りました。そして、よい師匠に出会いましたね。」

「ポーラ。そうなのだ。あの緑の魔術師が、不毛の大地を、緑豊かに変える魔法を教えてくれたのだ。ほんのちょっと、人間が、関わるだけで。」

「ミスタートム。明日は、開村式の演説を行うのですね。頑張ってください。あなたの声は素晴らしい。きっと、天に響き、地に響くでしょう。二人で、演説の練習をしましたよね。それを忘れないで。あなたの演説は、未来への約束なのです。アメシアスタンの国民へのあなたの未来への約束なのです。」

「ポーラ。私の演説は、未来への約束?」

「ミスタートム。そうよ。未来への約束。そして、その約束を果たすための協力者と、約束を邪魔しようとするものが、現れるでしょう。邪魔しようとするものも、あなたの協力者のふりをして、いつか、あなたを決定的な破滅に導こうと虎視眈々と、狙っているのよ。あなたが、活躍すればするほど、敵対する力も大きくなるものなの。未来への約束を果たすには、どうするか、それだけを見つめて、人生を見極めるとよ。誘惑や愚痴、怠慢に惑わされないこと。一粒の種が、芽を出し、歯を出し、枝と一つ一つ伸ばして、一日一日の一歩一歩の歩みを確かにしていくしかないのよ。明日、あなたが語るあ演説は、アメシアスタンの国民への未来の約束なのですよ。そうすれば、あなたを支援してくれるたくさんの人々が出てくるのです。だって、あなたは、その人たちの味方なのですからね。あなたは、アメシア民族の中では、小柄な体格です。そのことで、色々悩んできたこともあるでしょう。これからも、それをからかったり、悪口を言う人もいるかもしれませんね。でも、そんなことは何も気にすることはないのです。あなたが掲げた未来への約束をあなた以上に、実現しようとする人はいないからです。でも、もし、あなた以上に理想を掲げ、あなた以上に努力する人が現れたら、あなたは、喜んで、道を譲るでしょう。本当に、現れたらね。でも、あなた以上に、アメシアスタンの理想を掲げている人は、私は、まだ知りません。緑の魔術師の心を大切に頑張りなさい。応援していますよ。」



ミスタートムは、リボンがついたマイクの前に立った。

「皆さん。こんにちは。新しき村 アメシアシンデンの開村をここに宣言し、この村を実り豊かな街にしていきましょう。今まで、私たちは、この広大な土地を、不毛の荒地だと思っていました。しかし、私たちが関わることで、豊かな農地になることを知りました。私は、それを、緑の魔術師から教えていただいたのです。彼は、東方の異国の地から、見知らぬ荒地にやってきて、その土地の人が、全く気がつかない方法で、荒野を次々に緑の大地に変えていったのです。それを私は、この目で見、その魔術師の弟子になり、不毛の大地を緑豊かにする魔法を学んだのです。その魔法とは、人間の力で、大地を開墾することなのです。100年前だったら、人間の力、馬や牛の力しか使えなかったが、現在は、ブルトーザーやシャベルカーが使えるのです。それらを上手に使えば、少し遠くの川からも、水を引いてくることもできるようになりました。そして、この不毛の大地も緑の大地に変えられるのです。そして、改めて、そのビジョンを見れば、この大地が、豊かな豊穣の地であることがわかったのです。そして、その一歩が始まったのです。この大地が、アメシアスタンにとって、素晴らしい都市になっていくでしょう。今まで、見たこともないような高層ビルや市庁舎や美術館、博物館や大学も立ち並ぶようになるでしょう。」

「あの山の向こうから、水を引いてくることができます。いずれ、大きなダムができ、さらなる水を得ることができるようになるでしょう。この地には、昔、大きな川が流れ。古代文明もあったと聞きます。また、そのような古代文明に匹敵する現在の文明が、ここに誕生するのかもしれません。」

「太陽の光、雨を運ぶ雲、そして、雲を運ぶ風が、この大地を肥沃な大地にし、豊かさをこの地にもたらすでしょう。そのためには、自然に感謝し、よく働きましょう。そして、収穫に感謝し、素晴らしいアメシスタンを作っていきましょう。」


そして、5年後、10年後、20年後楽しみであったが、周辺のロシア、中国、トルコ、イランなどの大国が、この小さなアメシアスタンが、豊かに繁栄することを心よく思うわけがなかった。幸せで、豊かな国は、周辺国の嫉妬と欲望の中で、翻弄されていくに違いなかった。ミスタートムの理想が簡単に、実現できないことは明らかだった。


金も地位も、祖先も定かでない、貧乏人で、一人ぼっちのミスタートムが、政治家秘書ロボットのポーラと出会って、「私は大統領になりたい」と、言ったことから、人生の運命は、変化した。しかし、それは絶対不可能なことで、ありえないことのように思われたが、神様は、いたずらが好きなのだろうか?ポーラにできることは、何もなかった。ミスタートムの運命を黙って、見守る以外になかった。ミスタートムが、道を踏み外さないこと祈るしかできなかった。









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