9人の小さな女の子の冒険 タロー食堂の誕生秘話
小さな女の子たちの日本への旅行は驚きの連続だった。
初めて見た雪の中を転げ回った。いくら、転げ回っても、興味が尽きなかった。動物園や水族館も興味が尽きなかった。
たくさんのお魚。
タンバ最大の恐怖のエビとカニ。
でも、人造湖ルル湖の側のホテルには、小さな水族館があったので、アランたちのようなショックは、なかったけどね。
美味しいお刺身、焼き魚を食べたっけ。
動物園には、タンバ国の草原にいっぱいいるライオンやキリン、ヌーなどがいた。
そういえば、美味しい牛肉、豚肉食べたっけ。
たくさんの木々の山。大きな竹。
そうだ。あのタケノコも食べたっけ。
たくさんの花。たくさんの野菜。たくさんの果物。
そうだ。イチゴも食べたっけ。
そうだ。お芋の美味しかった。玉ねぎ、ニンジンも美味しかった。
いろんな食べ物を食べたなぁ。
日本料理、中華料理、フランス料理、イタリア料理、ハンバーガーにラーメン、天ぷら、唐揚げ。
私たちは、今ままで、何を飛べていたんだっけ。
なんだか、毎日、毎日、同じものしか食べていなかったような気がする。
世界にこんなにいろんな食べ物があったなんて。
タンバ国に戻った9人の小さな女の子たちの話題は、食べ物の話題ばかりになった。
「いろんなものをもう一度食べたい」と、誰かが言った。
「ここは、日本じゃないんないんだよ、」
「じゃあ、もう一度、日本に行きたい。」
「どうして、行きたいの?と、聞かれたらなんと答えるのさぁ?」
「天ぷら食べた^い。お寿司を食べたーい。ラーメン食べたーい。」
「そんな理由で、日本に行けるわけがないじゃないか。そんな理由で、日本に行きたいなら、いっぱい働いて、お金を貯めなさいよ。そうしたら、自由に日本に行けるわよ。」
「私たちは、まだ、小さいんだよ。何もできないよ。」
「でも、私たちだって、クッキーを作れじゃない。お母さんに習ったフランス風のクッキーを作れるんじゃない。」
「じゃあさあ。私たち、天ぷらやお刺身作れるかなあ。」
「ちゃんと習えばね。」
「あのさー。私たち9人いるじゃない。いろんな料理を作るのは、できないけど、一人1料理なら作れると思わない。」
「いいこと思いついてしまった。お弁当さんをやりましょうよ。おかずは、9種類。そして、ご飯。ご飯は、3人の先生に炊いてもらおう。」
一番、体の大きい小さな女の子が、タローに言いました。
「私たち9人で話し合ったのですが、お弁当屋さんをしたい。日本で、食べたお料理を私たちの手で作って、みんなに食べさせてあげたい。1日9品のおかずのついた、お弁当を作って売りたいんですが、どうでしょうか?」
「お弁当屋さん?なんだ、オベントウ?OBENTO えーと、テイクアウト型食べ物やさんですね。」
「違います。お弁当屋さんです。」
「だから、テイクアウト型食べ物やさんですよね。」
「お弁当ってテイクアウトなの?」
「まあ、持ち帰り式とお届け型と2種類ありますけど。」
「そうなんだ。とにかくお弁当やさんやりたい。」
「どうして、お弁当やさんなんですか?」
「日本で食べたもの、もう一度食べたい。でも、日本には簡単に行けないでしょ。それにタンバ国で、天ぷらやお刺身食べれるところはありません。そこで、自分たちで作って、食べたいんです。作るんなら、お弁当やさんをやったらどうかと思ったんです。」
こうして、ルル湖のほとりにタロー食堂が誕生することになりました。本当にたくさんのメニューがあり、従業員もたくさん雇うことになり、タンバ国有数の飲食業に発展していきました。