ハコベーにイノシシが衝突した。
豊新村は、トヨトヨの社長が呼んでいる豊国山を中心を、私有地として、独立国家 トヨニュービレッジを作った。そのほとんどは、山林であった。広大な敷地は、かつての村の名残の道や家が点在している。
広大な私有地、独立国家なので、日本の道路交通法に支配されないトヨトヨの広大な自動運転実験地となった。
ここには、トヨトヨの自動運転自動車 ハコベーが、10000台用意され、人を運ぶハコベーの他、電気ガス水道などのインフラをハコベーによる運搬で賄うというシステムである。
この独立国家の中で、動いているものは、トヨトヨの自動運転自動車ハコベー以外に存在しない。それぞれのハコベーは、行く先やそれぞれの情報を交換しながら、動いているので、交通事故というのが発生しないようになっている。この村、独立国家には、信号機は存在しないし、道路交通ルールも存在しない。それぞれのハコベーの行き先は、情報交換されているので、その場、その時のハコベーの集合体から、最適な運用状況が導きされていく。通常の交通ルールで発生する信号待ちなどの時間ロスが発生しない。
同時方向に行くものは、ハコベー同士が連結し、小さな列車のようになり、車間距離等の確保を必要とせず、パワーを増強して、高速安定走行を可能にする。
そう、日本の道路交通法を廃棄して、すべてをハコベーにしてしまえば、1日にして、切り替え可能を証明していた。日本の高度な高度なGPS技術や地図情報は、スローモーより早く、状況を把握して、ほとんど1日程度で、そのエリヤを理解したし、切り替え以前に、制御ハコベーを既存の自動車につけておけば、その地域の道路事情は、事前に把握できた。
実は、トヨトヨは生産している全ての自動車には、すでに、制御ハコベーは搭載済みなので、自動運転ハコベーに切り替えるのは一瞬で可能にしていた。
最大も問題は、もう、道路交通法に頼らず、ハコベーに全てを委ねるという一点にかかっていた。
そう、ただ、信号機の停止と、人間による運転の停止を行うだけで、他は、なんの準備も必要とせずに、新交通システム ハコベーが、完成してしまう。
さて、その決断を、日本政府に迫るため、トヨトヨの独立国家豊新村では、絶対事故を発生させてはならなかった。
トヨトヨには、自信があった。交通事故を発生させること自体が不可能なのだ。全ては完璧だった。
事前に、道路に穴を掘っていても、大きな石を置いておいても、ハコベーは、完璧に把握し、事故を発生しないように作られていた。もちろん、穴や石をハコベーが埋めたり、どかしたりすることはできないので、専用の工事を行う必要があるが、交通止めの場合も、すぐに最適なコースを分析して迂回も行うのだった。ハコベーは、360度どの方向に進むことができるので、交通止めで渋滞が発生しても、連結して、180度反対方向に瞬時を出発ことができた。
その完璧さには、もはや、穴がないように思えた。
しかし、豊新村は、山深い村であった。イノシシや鹿、たぬき達がたくさん住んでいたのだった。通常は、ハコベーをみると、それらの動物達も逃げて行くのに、ある日、何かにびっくりしたのか、追われていたのか、イノシシが、猛スピードで、ハコベーにぶつかってきた。さすがのハコベーも避けることはできずに、道路からはみ出し、横倒しなってしまった。幸い運搬用ハコベーで、人的に被害はなかったものの、思わぬ問題となった。
イノシシか。どうする?
そうだ、ハコベーに防衛用レーザービームか、高速BB弾砲でもつけるしかないか?
おいおい、そんなことをしたら、ハコベーは、軍事用自動車に使われてしまうじゃないか?
え!、中東の国から、大量の注文が来ている。一体、何に使うつもりで、購入するのだろう。
アメリカと、ロシアと、中国からも注文が来ている。
おい、なんか怪しくないか?




