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人類発祥の地

朝、アランがルル電気自動車に出社して、会議室をのぞくと、ルル電気自動車のエンジニアが声をかけてきた。



「おい、アラン。今朝の新聞を見たか?」

「見てないが、何か、あったか?」

「人類発祥の地が、確定したぞ。」

「エ!、どこさ。」

「ボツナワだと。現代人が、20万年前に生まれたんだとさ。」

「そうか、よかった。」

「なんで、よかったんだ。」

「僕が、日本にいた時、日本の有名な人類学者が、人類発祥の地は、ルル山の麓だというんで、びっくりしたことがあるんだ。」

「ふーん、ルル山の麓というと、この辺かな?この辺から、何か、遺跡か、骨が出たか?聞いたことがないぞ。」

「そうなんだ。その人類学者は、50年に及ぶ研究成果を、地図上に書き込んでいった時に、年代ごとに追いかけてみると、タンバ国のルル山あたりに、出土した遺骨が並んでいるように見えることを発見して、それを持って、人類の発祥の地を、ルル山あたりだと発表したんだ。」

「50年の研究成果ね。」

「ルル山の麓には、なんの遺跡もないのにね。」

「おい。そんなことを言うとルル族が怒るぞ。」

「ルル山の麓が人類の発祥の地だと、エジプトが聞いたら、怒るんじゃないかと、僕はとても心配したんだ。けれど、あまり、話題にならなかったみたいで、エジプトが怒らなかったので、よかったけどね。」

「アランは、心配性なんだね。」

「でも、ボツナワか。だいぶ、アフリカの南の方になったなあ。どうして、そこが人類発祥の地なんだ。何か、文明や遺跡があったか?お猿やライオンならいそうだけど。」

「えーと、記事を読むと、DNAを調べたらしいぞ。今生きている民族のDNAをいろいろ調べて、ボツナワの北部だ決めたようけど。」

「あそこには、何もないぞ。あんなところに人類の発祥なんて信じられないな。」

「今は、何もないけど、昔は大きな湖があったそうだ。」

「人類学者の考えることは、さっぱりわからん。」

「まあ、その日本人の研究成果もそんなに間違っていなかったんじゃないか。もう少し、アフリカの南の方だっただけだ。方向性としては、あっていたんじゃないか。誤差の範囲だ。」

「誤差の範囲ね。」







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