緊急会議 タンバ国の電力事情
タンバ国 大統領執務室にて
ロハハ大統領「皆さんに、緊急にお集まりいただきました。タンバ国の電力が不足する状況になっています。詳しい状況について、バージル保安部長から説明させていただきます。」
バージル「タンバ国の経済は、ビットコインで決済されています。ビットコインは、1決済ごとに、ブロックチェーンを計算して、つけて行かなければなりませんが、この計算が、少々面倒な計算をする必要があります。一つ一つの計算は、10分間程度なのですが、それを毎回計算する必要があります、マイニングが、1週間、2週間という時間が必要に比べれば、わずかかもしれませんが、小国タンバ国でさえ、1日に、数百万回、数千万回の取引の一回10分間のブロックチェーンの計算は、とんでもない電気を必要とします。コンピュータが休みなく計算しても、計算が間に合わないのです。このまま、ビットコインによる経済をつづけていいのでしょうか?」
ロハハ大統領「ロジャー財務大臣どう思いますか?」
ロジャー財務大臣「ビットコインのマイニングは、タンバ国立中央銀行が管理していますので、そちらは大丈夫なんですが、問題は、日々発生する決済ですね。その数が、数百万、数千万件になってくると、その処理に莫大な電力が必要になるのはたしかです。それで、今回の電力不足に陥りました。よい方法を模索する必要がありますね。」
ロハハ大統領「いいかね、シャロン君。いいアイデアはありませんか?」
シャロン「もちろん、よいアイデアはありますわ。少額決済用にお金を発行すればいいんです。」
マリー「シャロン、それじゃ、科学立国タンバ国にふさわしくありませんわ。プリペイド式電子マネーを導入するのがいいんです。そのカードには、ロハハ大統領の横顔を印刷しておくといいと思います。」
サユリ「ロハハ大統領の横顔は、ちょっとすてきね。でも、プリペイド式電子マネーの問題は、タンバ国は、現金がないのですから、どこから、入金させてるのですか?」
マリー「あんたは、頭がすこし弱いかな。もちろん、ビットコインタンバから振り込むんです。」
サユリ「そうかなと思ったんですが、ビットコインタンバから、プリペイド式電子マネーにどんどん入金すると、ビットコインタンバの実態が、虫食い状態の価値になって、長年つかっていくと、ビットコインタンバの価値が減って行く事になるんじゃないかと思うのですが?」
マリー「あら、おバカさんとおもったら、鋭い指摘。いったい、どうなるんでしょう?アレックス、ビットコインタンバとプリペイド式電子マネーの共存はどうすればいいんですか?」
アレックス「一つの国の経済をビットコインタンバだけで、運用しようと例は、タンバ国以外にありません。未来的実験なのです。実際やってみないと、はっきりしたことはわかりません。」
マリー「アレックスは、優秀なロボットだとおもったけれど、案外、頼りなのね。」
サユリ「どんな優秀なロボットだって、どの国もやったことのないことを、的確に分析できないものですよ。現代経済学で、貨幣というものさえ、きちんと、定義できていんですよ。」
アレックス「貨幣には、経済的要素のほか、文化、政治、権力などいろいろな要素があるので、それぞれの場面から定義する必要がありますね。複合的な要素の固まりなので、一つの定義で説明できません。」
シャロン「経済って複雑ですよね。だから、国が紙幣や硬貨をつくればいいんです。」
マリー「だから、それは、科学立国タンバに相応しくないってば。」
シャロン「でも、物を考える時は、リアルな物で考えたほうが、整理されて考えやすいんです。そこが整理されたら、もう少し、複雑な理論も考えると、どんなに複雑な理論も間違わないんです。」
マリー「あんたが、そんなに堅実な理論の持ち主とはちっとも知らなかったわ。」
シャロン「私は、毎日、タンバ国の将来について考えていますから、無謀な冒険はできません。」
マリー「あら、そうなの。」
サユリ「では、プリペイド式電子マネーを使うということは、物を売ったほうは、電子マネーがどんどん溜まってくるのだから、ある程度溜まったら、それをビットコインタンバに戻せば、虫食い状態のビットコインタンバの満タンのビットコインタンバに戻るんじゃないかしら。まあ、ポケモンを1ビットタンバコインと仮定すると、傷ついたポケモンが「げんきのかたまり」、「げんきのかけら」、「キズぐすり」というもので、復活するのと同じと考えれば、考えやすいんじゃないかしら。」
アレックス「まあ、サユリ君が、ポケモンの例で、ビットコインとプリペイド式電子マネーの関係を説明してくれましたが、まあ、そう考えるとなんとか、うまくいきそうですね。」
ロハハ大統領「では、プリペイド式電子マネーを導入ししましょう。バージル、発行準備にかかってください。デザインは、私の横顔を入れてください。裏は、雪の降ったルルンバ山の風景を入れてください。」
バージル「大統領の横顔は、問題ありませんが、ルルンバ山に雪が降ったことがありますか?。私は一度も聞いた事がありません。この赤道直下のタンバ国に雪が降る訳はありません。いくら、ルルンバ山が高いといっても、無理です。」
ロハハ「やはり、無理か。それなら、ルルンバ山に5年に1度咲くというリリ草の花をカットにあしらってそえてくれたまえ。どこかの会社がチタン製で、ピカピカのカード創ったので、財布にいれてはいかんというニュースをみたが、タンバ国のプリペイド式電子マネーは丈夫で長持ちする堅牢な物をつくってくれ。」
バージル「原案ができましたら、一度、見せに参りますので、ご確認ください。」
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ロジャー「アレックス、3人娘にすっかり押しまくられていたな。」
アレックス「タンバ国の優秀なロボット娘ですから、」
ロジャー「あれじゃ、大統領や国防大臣、国土大臣たちも、だいぶやり込められていんじゃないかな。」
アレックス「あの3人娘は、そんなバカじゃありません。自分たちの立場を十分理解しています。ロボット同士の会話になると、そのへんの制御はかなり甘くなりますが、人間には、そんなことを感じさせるようなヘマは絶対みせません。それは命取りになりますから。」
ロジャー「アレックス、君もそうかね。」
アレックス「もちろん、そのようなヘマはいたしません。ロジャーの失敗を誰かに告げ口するようなマネは死んでもおこないません。」
ロジャー「あれまあ。アレックスの中には、僕の失敗がたくさん記録されているんだね。」
アレックス「も、も、、、、」
ロジャー「どうしましたか?」
アレックス「人間はいいなあって、しみじみ思います。たくさんの失敗、たくさんの成功、笑いや悲しみ、恋愛があって、たくさんの失敗があるから、成功したときの喜びが、何倍、何十倍になって、感じられるんですから、人間っていいなあ。人間って本当にいいなあって思います。失敗したら、成功を目指してまた、歩き始めればいいんですから。」




