タローと小さい女の子たちの小さなビジネス
タローと小さい女の子と3人の青年の会社は、小さなビジネスを開始した。
一つは、小さなクッキー屋さん。そして、もう一つは、小さな花屋さん。そして、もう一つは、小さな本屋さん。
この3つの小さなお店は、湖のほとりにあった。
クッキー屋さんは、お母さん直伝のとても、美味しいクッキーで、とても人気のあるクッキーだった。
小さなお花屋は、湖の周りに咲き誇る色々な花々を、育てて売っている。種は、湖の周りに咲いている花の種を集めたり、タンバ国の大草原に咲く花々の種を集めて、自分たちで育てて売ることにした。
小さな本屋さんには、大人の本から、子供の本まで、あった。大人の本は、タンバ国国史、英雄伝、政治の本、経済の本、雨乞いの本など、多種多様で、そのほか、子供の本もあった。子供の本は、主に、お話を読むというよりは、文字や数字を覚えるという感じの本が多いように思われた。しかし、タンバ国は、タブレットと電子書籍、電子教科書の国である。あまり、本屋さんが儲かるとも思えなかったが、この湖の周辺は、タンバ国唯一というべき観光地となり、ホテルもできてくると、外国から観光客の一大拠点になり、タンバ国の観光案内、紹介するための本屋という感じでもあった。半数は、外国人という感じであった。
クッキー店の自慢は美味しさだった。なんといっても、お母さん直伝のクッキーの美味しさは、格別であった。ナロハ大臣も、時々やってきては、買っていくのあった。ホテルからの注文が来て、ホテルのコーヒーと一緒に食べるのが、定番メニューであった。
砂埃と灼熱のタンバ国では、花を見かけることはほとんどない。大草原に雨が降ると、壮大な花畑が出現するが、それが、人目に触れることはない。ルル湖できたことで、常に水を得ることができるようになるとルル湖の周りは、いつも、素晴らしい花々であふれていた。たくさんの花は、たくさんの種をつけていたが、その余りある種を集めて、種から花を育てて、鉢にしたり、切り花にして売っている。ホテルの玄関や周りにも、花々で飾られるようになり、政府や公共機関にも、花を飾る習慣が少しづつ、生まれ始めていた。
タンバ国の出版事情は、電子書籍が中心で、紙の本はあまり多くないが、政府刊行物や子供の本は紙でも印刷していた。この小さな本屋さんのすごい所は、欲しい本があると、5分程度で印刷して、本の形に仕上げてくれるので、世界中のどんな本も得ることができた。表紙は、特殊な用紙で、カラーで綺麗に印刷されて、あとで、本の中身と一緒にされて、本が完成する。よく売れる本は、300冊ほど、常時展示され、その場で、手にとって、見ることができるようになっている。
ゴードンとミンミンが、ルル湖の周りを、ルンルン気分でお散歩していた。
何やら、甘〜い匂いに誘われるように、ミンミンがクッキー屋さんに引き込まれていった。ゴードンは訳もわからずに、ミンミンの後を追いかけていった。
ミンミンが、買ったばかりのクッキーをパクリと齧った。ゴードンも、ミンミンから先ほど渡されたクッキーをパクリと齧った。そう、同時にパクリと齧ったのだ。
すると、ミンミンの目がランランと輝き、ゴードンは、クッキーの甘さにすっかり魅了されて、この世界のことはすっかり忘れていたその時に、ミンミンが大声をあげた。
「私は、天才かも、すごいことを思いついてしまったわ。」といって、ゴードンを見上げたのだった。
そう、身長差が、30cm近くあった。ゴードンは大男だったよね。
「そう、君は天才さ。天然の天才さ。で、どんなことを思いついたのかな?」
「この湖、少しも面白くない。確かに、タンバ国には、海はないから、この湖を見るだけでも、驚きかもしれないけど、ちょっと、つまんない。」
「じゃ、どうすんだい。」
「大きな噴水。でも、いつも噴き上げているとつまんない。いつもは、静かでも、突然、ドカーン噴き上げる。水が、水面の上を、ピョンピョン跳ねまわるようにする。泡がぷくぷく湧き出るとか。とても不思議な感じにしたいと思わない。みんなをびっくりさせようよ。」
「でも、それを実現するには、お金がかかるけど、どうする?」
「だから、大トンド国のアイデアコンテストに、出すの?」
「でも、それ、大トンド国なんだから、コンテストに入選しても、ルル湖で、実現はできないよね。だって、大トンド国にとって、ルル湖は、よその国のことだよ。」
「そうだね、どうしようかな?」




