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おい、若造、なにかアイデアを出さないと処刑するぞ

大トンド国のトーゴ大統領は、いつものように無料コーヒー店で、コーヒーを飲みながら、ロボットのムーンライト相手に、おしゃべりを楽しんでいた。


すると、コーヒーを作っている若造に、話しかけてきた。



「おい、若造。なにか、アイデアをださないと処刑するぞ。」

「トーゴ大統領。そんな無理をいうもんじゃありません。若造さんが困っているじゃありませんか。」

「あおー、別に困っていませんけど。実は、アイデアがあるんです。」

「なんだ、なんだ。そのアイデアとやらを聞かせてもらおうかな。」

「まだ、漠然としているんですが、実は、あたらしい飲み物を考えたんです。」

「どんな飲み物だ。」

「では、作ってみますので、試飲してみますか?」

「わしが、売れるかどうか、試してやろう。」


「では、どうぞ」


「げ、げ、げ、なんだ、なんだ、こんなものは飲めんぞ。」

「そんなに、まずいですか?」

「まずいというか、とんでもない味がするぞ。これはなんだ。」


「中国の漢方という薬草から、長寿になるといわれる成分を抽出して、コーヒーとブレンドしたんです。」

「なに!なに!なんと言った?」

「中国5000年の歴史の中で、長寿の薬と言われているものです。」

「長寿だと。これを我慢して飲めば、長生きできるのか?」

「良薬は口に苦しと言いますから、たぶん、長生きできるかも。。。ただし、中国人がすべて長生きではないので、長生きできないかもしれません。」

「確証はないのだな。」

「まあ、この大トンド国で、1000万杯売り上げれば、それらしい統計がでてくると思います。」

「おい。それはいつになるんだ。」

「10年後か、20年後か、もしかすると、5000年後には、たしかなことがわかるのではないかと思いますが。」

「おいおい、それじゃ、長生きできるか、わからんということだな。」

「長生きできるかは、その人の生活習慣にもよりますし、食生活にも影響されます。」


「トーゴ大統領、現在、世界の中で一番長生きの国は、ジャパンという国ですわ。」

「おい、どうして、そのジャパンという国は、長生きなんだ。」

「おいしい食べ物が多いのではないかと。オスシ、テンプラ、カツドン、ラーメン、それに中華料理、フランス料理、世界中の食べ物があります。」

「ムーンライト、長生きのこつは、うまいものを食うことかな。」

「そうかもしれませんね。でも、いくらおいしいからといっても、たべすぎると、絶対、長生きできません。肥満は短命の元です。心臓に負担がかかりすぎるからです。ジャパンのことわざに、腹八分ということわざ

がありますよ。」

「長生きのこつは、うまいものをたべて、食べ過ぎないことだな。」

「どうも、そのようです。それに、すぐ怒るのはよくないんです。血圧があがるので、短命になる可能性もあります。それに、あまり、国民を締め上げすぎると、クーデターやテロが起きるかもしれません。長生きをしたかったら、国民に優しくすることです。」

「わしには、国民にやさしくできないわけがあるんだ。」

「なんです、その訳とは」

「だれにも、言ったことはないのだが、わしに、劣等感がある。山奥の村の生まれだ。学問もない。実力一つで、みんなを圧倒することで、この地位を得たのだ。人に優しくすると、非常に不安になる。家柄や学問のあるやつをみるとイライラして、無性に許せなくなる。」

「だれにも、劣等感や弱点はあるものです。でも、トーゴ大統領のすばらしさを、大トンド国の国民は知っています。だから、大統領になれたんじゃありませんか。国民に優しくしても大丈夫です。」

「わしは、人に優しくすると、自分が不安になる。それが嫌なのだ。非常に嫌なのだ。この瞬間にも、大声を出して、わめきたくなる。」


「トーゴ大統領。ここにすばらしいお茶があります。これも、私の大発明なんですが、飲んでみますか?」

「若造、また、わしにとんでもない味の飲み物をのませると、直ちに、処刑を申し付けるぞ。」

「うーん、それは、微妙だな。まず、一気に飲まないで、ちょっとだけ、味見をしてから、おいしかったら、のんでみてください。イギリス2000年の伝統のブレンドを、この若造が、工夫に工夫を重ねたスーパーブレンドのお茶です。絶対、おいしいとおもいますよ。」

「ほんとうか。では、まず、ちょっとだけ。」


「うーん、奇妙な味がするような、しないような。ムーンライト、どう思う。この味は。」

「ごめんなさい。私はロボットなので、お茶を飲んだり、料理を食べたりすることができません。なので、若造さんがいろいろ作る飲み物に、アドバイスをすることができなんです。」

「そうか、ムーンライトはロボットだったな。飲んだり、食べたりすることができないんだったな。」


「ムーンライト、お前はロボットなのだから、永遠に生きられて、うらやましいぞ。」

「トーゴ大統領。ロボットの寿命は、そんなに長くありませんよ。せいぜい、5年か10年程度です。」

「エ!、そんなに短いのか、なぜ、そんなに、短いんだ。ロボットだろ。」

「人間は、食べ物をたべることによって、新しい肉体を手にいれ、古い肉体を捨てていくのです。難しい言葉では、同化と異化といいます。常に新しい肉体を作り出しているのです。しかし、ロボットには、そのような力はないのです。だから、この体は、最初に作られたままで、だんだん古くなって、いつしか壊れてしまうものです。たったひとつの部品が壊れただけで、私は、死んでしまうかもしれないものなのです。」

「おい、若造。ムーンライトが長生きできるようにちゃんとメンテナンスするんだぞ。ホコリが溜まらないようにちゃんと磨くんだぞ。」


「トーゴ大統領、若造特性ブレンドお茶をどうぞ。」

「うーん。うまいような、うまくないような。よくわからない味だな。」

「トーゴ大統領。初めてコーヒーを飲んだことを覚えていますか。苦くて、人間の飲み物ではないような気がしたと思いますが、何十杯と飲むと、コーヒーの不思議な味わいが判ってくるのと同じです。」

「そうか。もう一杯飲みたいとはおもわないが。」


「そうですか。また新しいブレンドを考えておきます。」

「おいしくないと飲まないからな。」

「まず、いろんな人に試して、いい味を探しておきます。」




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