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無料コーヒー店の朝 なんだあのタワーは

「おい、ムーンライト、また、タンバ国はへんなことを始めたぞ。あれは、うちでもできるか?」

「グライダー方式による個別配送システムですね。」

「そうだ。タンバ国では、小荷物は、グライダーに乗せて、個人の家に直接配送するそうだ。なんと最速では10分以内で、とどけるとほざいているぞ。」

「ほ、ほ、ほざいている。まあ、ほざいているようですね。」

「大トンド国の名誉にかけて、うちでも実現しなければならない。」

「トーゴ大統領、焦るものではありません。先行するものはいろいろな実験が必要です。いつでも、2番手、3番手が、大きく成長するんですよ。焦ることはありません。ビデオデッキの世界では、ベータというのが、先行して発売されたのですが、2番手のVHS というのが、大成功を収めました。検索エンジンの世界でも、世界規模の検索を実現しようとした ALTAVISTA というのがあったのですが、最後には Google が、大成功を収めました。一番手は、いろいろな実験や試行が必要なのです。現に最初の飛行機タイプから折り畳み式の改良案がでているではありませんか?」

「そうか、一番最初にやるより、2番手、3番手の方が、大成功する可能性が高いのか?」

「そうですよ。」

「そうか、じゃ、我らは、どうするのが、いいのかな?」

「そうですね。小規模な実験用タワーを建設して見るのはどうでしょうか?そこで、いろいろテストしてみたらどうですか?」

「実験用タワーか。作って見るか。一体、誰が、こんなことを考えたんじゃ。イーロン・マスクじゃないなろうな?」

「ちょっと、お待ちください。イーロンではなくて、ゴードンですわ。あれ、どこかで、聞いたような名前ですね。あの3次元CPUの発案者ですわ。またまた、彼らが考えたということでしょうか。えーと、少々お待ちください。今回の案は、タンバ国科学技術大学の学生と15回の授業で検討したということです。いろいろ徹底的な討論を行って導き出したようですよ。」

「そんなに検討した技術なら、これ以上の改良の余地はないんじゃないか?」

「いやそんなことはありません。彼らは、実際の現物を見て考えたのではありません。あくまで。模型や図面、コンピュータシュミュレーションで、考えたので、完璧にはいきません。実際やってみると、いろいろな改良案が出てくるものです。それに、100機のうち、100機が完璧に到着するわけでありません。事故やトラブルで、届かないものも出てくるのです。それらを丁寧に分析すれば、改良すべき点が出てくるものなのです。そうすれば、タンバ国のシステムより優れたシステムが生み出されます。」

「すると、我が国が一番だな。」

「そうではありません。大トンド国のシステムを見て、タンバ国で、また考えて、我が国より優れたものを作るのです。」

「すると、我が国が、追い越されるのか?」

「そうですね。でも、そしたら、また、わが国で、改良して、良いシステムを作るのです。タンバ国と大トンド国は、良きライバルで、追い越し、追い越されの仲なのです。」

「そうか、よきライバルか? 向こうも、そう思っているかな?」

「それはわかりませんが、多分、そう思っているに違いありません。」


「タンバ国でうまくいっているなら、実験と言わず、本格的なもの作ろう。この大トンド国でも、必要なものだ。1つうまく行ったら、全国展開も考えよう。国土大臣に言って、検討させよう。」


「では、コーヒーを一杯頂こうかな。」


と、コーヒーを一杯飲むと、大統領執務室に向かって歩いて行った。



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