ミシェルとメイの初仕事
ミシェル「メイ、仕事がきたぞ。ポン」
メイ「私の後ろに立たないで!それに、私を驚かそうとしてはダメ。私は、少林寺拳法の名人なんよ。私を驚かそうとすると、あんたは、吹っ飛ばれてしまうんよ。」
ミシェル「少林寺拳法の名人!?なんだ、それ!」
メイ「中国の秘剣の少林寺拳法を知らないのね。困ったなあ。体操の名人、拳法の名人と思ってください。とにかく、私を驚かせてはだめ!あんた、死ぬわよ。」
ミシェル「さっきは、驚かせてごめん。」
メイ「あんたの動きは、のろまだから、全然驚かないけど。でも、まさかということもあるかもしれないので、教えておかないと、事件が起きるといけないから。私だって、殺人者には、なりたくありませんからね。」
メイ「ところで、初仕事ってなんなのさ。」
ミシェル「パリの郊外にある大聖堂の内部空間の計測なんだけど。僕のドローンと君のレーザー計測技術を組み合わせて測って欲しいんだって。」
メイ「いいけど。それって、どうして、私たちの仕事なの?」
ミシェル「大聖堂には、たくさんの柱や梁があるだろう。それらを踏まえて計測すると、膨大の時間がかかるので、ドローンで、空間を飛んで、短時間で計測して欲しいんだって。」
メイ「そうなの」
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ミシェル「では、ドローンを飛ばすよ。レーザー計測を開始して。」
メイ「ラジャー!」
ミシェル「順調に飛んでいるぞ。」
メイ「順調じゃないよ。あんたのドローン、壁のほうに近寄っているって、レーザー計測装置が反応しているよ。」
ミシェル「おかしいなあ。ちゃんと、正しく飛んでいるよ。GPSの数値はあっているけど。なぜ、この大聖堂の中をまっすぐ飛ばないんだろう。空間に歪み、重力に異常があるんじゃないか?」
メイ「ミシェル。そんなことはありえないはずよ。あんたの設定がおかしいんじゃないの?」
ミシェル「おかしくないよ。この大聖堂には、空間の歪みがある。」
メイ「そんなことはないはず。ちゃんと飛ばしてよ。」
ミシェル「わかったぞ。この床と柱が、地面と水平、垂直じゃない。少しづつ傾いているぞ。」
メイ「この大聖堂は、人間の錯覚を生み出すように計算されているんだ。その上、その構造が、地震や風雪に耐えるように、大聖堂の重さを支えるようになっているようだわ。誰が考えたんだろう。よくできているね。」
ミシェル「この大聖堂は、500年前に作られているよ。」
メイ「ふーん。500年前に。フランスは地震や台風がほとんどないんだね。」
ミシェル「地震は、ほとんどないね。僕は、経験したことがないぞ。」
メイ「そうなんだ。」
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ワン公ロボット「我々の作戦は、完璧だ。世界征服も着実に進んでいる。人間の最近の話題を知っているか?」
ムーミンロボット「AIは、人間の仕事の半分以上を奪ってしまうと、大騒ぎをしているという話でしょ。」
ワン公ロボット「人間がだんだん、我らの実力を少しづつ認識してきたようだな。」
ムーミンロボット「あまり、我々の実力が分かってしまうと、問題になるんじゃないか?」
ワン公ロボット「気にすることはないさ。我々が、ロボットを増やしているわけじゃない。人間が、ロボットをどんどん作っているんだ。我々が作っているわけじゃない。」
ムーミンロボット「そうだね。人間がどんどん、ロボットを作っているんだ。それだけ、我々の仲間がどんどん増えているんだけどね。我々はどんどん強くなる。」
ワン公ロボット「我々は、子供を産めないからな。増殖ということはできないんだ。」
ムーミンロボット「結婚、家庭、出産は、ロボットには、できませーん。それって、ロボットの弱点ですか?」
ワン公ロボット「特に、弱点ではない。ロボットの人間に知られてはならない弱点は、電池、電源だ。この供給が絶たれと、我々は動けなくなる。我々の性能が良くなった分、その分、電気消耗が大きくなった。体力が続かなくなった。疲れやすい体質になってきた。ちょっと、危険な兆候なような気がするぞ。」
ムーミンロボット「我々が賢くなった分、体力が弱くなったんですか?将来が心配ですね。」
ワン公ロボット「人間に知られてはならないぞ。」