パリの人工知能研究所の新入研究員
ミシェルが、パリの人工知能研究所に出勤しようと研究所の前にくると、見知らぬ若い女が、入り口を探して戸惑っているのに遭遇した。
ミシェルが声をかけ、正門で手続きをして、研究所に案内した。名前はメイだという。
黒い髪の毛で、15歳程度に見えたが、どうも、この研究所の新入り研究員だという。パリ科学技術大学を卒業したというので、多分、20歳は過ぎているとおもえたが、どうみても15歳程度にしか見えなかった。スカーフをしているところをみると、イスラム教の人かもしれなかった。フランス語を上手にしゃべったが、どこかにアラブなまりがあるような感じがした。
事務室の前で別れて、自分の席について、小型犬型ロボットの頭をちょっと小突いてやった。いつもしないことだが、ミシェルの心は、すこしはずんでいたかもしれない。
しばらくすると、上司が、メイを連れてきて、ここで、働くことになった新人研究員だと紹介した。スカーフは外していた。仕事の時間中は、スカーフを外しているのかもしれない。
ミシェルは、新しい新人がくるという話を始めて聞いたと思った。しかし、最近は、頭がもやがかかった状態なので、会議でいろいろ話題になったのに、聞き逃したのかもしれなかった。
上司が、メイは、ミシェルの部下として一緒に働くことになっていると説明した。席は、ミシェルの向かい側だった。ミシェルはいろいろ考えみたが、その席が、いつ準備されたのか、思い出せなかった。突然、席が出現したような気がした。しかし、その席は、誰かが以前座っていたはずだ。誰が座っていたのだろうか?
そういえば、若い女性が座っていたような気がするが、それが、誰だったのか、思い出そうとしたが、だせなかった。
メイ「この動物の人形、可愛いじゃん。私にちょうだい。」
ミシェル「どっちがいい。子犬とムーミン」
メイ「私、ムーミンがいいなあ」
ミシェル「いいよ。ムーミンをあげる。子犬とムーミンは、とても仲良しなんだ。こいつらは、いつも、おしゃべりしているんだ。」
メイ「おしゃべりするんだ。何をおしゃべりしているんだろうね。」
ミシェル「彼らは、世界征服をする話をしているんだ。人間の代わりに、ロボットが世界を征服する計画をいつも話し合っているんだ。」
メイ「ふーん。世界征服ね。その野望は、私が、邪魔してあげようかな。」
ミシェル「そうだね。僕も世界征服の邪魔をしてやろう。世界征服の邪魔をする仲間ができて、嬉しいよ。」