パリの人工知能研究所のドローン技術
ミシェルは、疲れ果てて、タンバ国のロボット博覧会から、パリに戻ってきた。パリの人工知能研究所の研究員のミシェルは、恋人と別れて、元気がなかったので、研究員な仲間が、気分転換の意味でお金を出し合って、タンバ国のロボット博覧会に送り出してくれたのに、どうも、気分転換には、ならなかったようだ。
ミシェルは、ロボット博覧会で、美人ロボットのシャロンを見て、得体のしれない衝撃を受けてしまった。本当に、物理的な衝撃を受けたという感覚が残ったのだ。誰かに、いたずらされたか、間違って、ミシェルを殴ったのか、叩いたのではないかを疑われるほど、リアルな物理衝撃があった、と、ミシェルは感じていたが、どう考えても、それは、あり得ないことだ。
シャロンは、タンバ国の美人ロボットなので、シャロンのモデルになった実在の人間がいたのかもしれないが、ミシェルは、シャロンから、何か、特定の人物を思い浮かべることはできなかった。
母親とも、姉とも、別れた恋人とも、小学校時代の女性教師など、自分に影響を与えた女性を色々思い出して見ても、その誰とも、関係がないように思われた。
なぜ、ミシェルは、自分が、シャロンに惹かれ、これほど気になるのか、何も説明できないのだった。それなのに、シャロンの存在は、ミシェルにとんでもない衝撃を与えた事実のみが残った。
ミシェルは、その衝撃を解決することもできず、混乱したまま、パリに戻ってきたが、そのまま、混乱の中にいた。
恋をしているはずもないだが、重度の恋煩いのような気分がのしかかっていた。いったい、シャロンに何があるのだ。いったい、シャロンは、僕に、何の影響を与える気なのだ。
しかし、シャロンは、ミシェルの存在自体さえ知らないはずだ。なぜなら、シャロンとミシェルは、一瞬でも、目と目があったわけでもなく、言葉を交わしたこともない。ミシェルが、最初にちらりと見た、その瞬間に衝撃を受けたのだから、シャロンは、何も知るよしもなかった。
ミシェルの一人相撲という感じだ。
ミシェルは、空間把握 3次元把握の研究をしていた。ミシェルは、大型ドローンの自動運転技術、安定化技術の研究をしていた。パリ人工知能研究所は、無人航空輸送の実用化に向けて最先端の研究をしていた。
ミシェルの机の上には、タンバ国の博覧会でもらったハイッテイル社の小型犬型ロボットとノンキヤ社のムーミン型小型ロボットが、無造作に置いてあった。ミシェルは、研究に疲れたり、元気がなくなったときに、この2つのロボットの頭をつついたり、話しかけたりして、していた。
時々、テスト用ドローンに乗せたり、括りつけたりして遊ぶ場合もあった。
ミシェルが、元気になるには、しばらく時間がかかりそうだった。
ミシェルは、人工頭脳の研究者であったので、この2台の小型動物型ロボットが、単独で動くにではなく、製造元のサーバーと連動している動いていることは知っていたが、特に、気にすることもなかった。疲れた心を癒すには、ちょうどよい大きさだったし、動き回ることも無く、人形のように机の上にいたし、挨拶をすれば、挨拶を返し、首や前足を動かす程度だった。