ルル電気自動車の静電気発電機能
ルル電気自動車の技師が、アランの顔を見て、話しかけてきた。
技師「お前、なにか、企んでいるな?」
アラン「別に、なにも、企んでいませんけど」
技師「俺は、お前を注意深く観察することにしているんだ。だから、お前の少しの変化にも敏感にわかるようになった。」
アラン「僕のことなんか観察しないで、自分の仕事をしてください。時間の無駄ですよ。」
技師「そうも、いかない。タンバ国の人間は、なにを考えだすか、わからんからな。」
アラン「別に、そんなこともないですよ。普通の人間です。」
技師「現在、フィンランドにいっているゴードンとかいうやつが、CPU製造で、世界一というハイッテイル社を窮地に追い込んだ話を知っているだろう?とんでもないCPUを考えたという話だ。」
アラン「たしかに、ゴードンは新しいCPUを思いついただけで、作っているのは、イスラエルの設計図で、中国で生産していますが、まあ、偶然です、偶然です。」
技師「偶然で、あの世界企業を窮地に落とし入れてというのか?」
アラン「ハイッテイル社は、世界企業ですから、そんなことで、窮地に陥るほどのことはないのでは?」
技師「そうか、相当目の敵にしていると聞いたぞ。」
アラン「そうなんですか?ところで、そのゴードンが、新しい発電機の構想を持っていまして、実用化できないかと、相談があったんですが?」
技師「なに、そのゴードンの新しい発電機のアイデア 。。。。」
技師「キタキタキタ。。。。キター!!!!!!」
アラン「なんですか? その、キタキタキタ キター!? というのは」
技師「なんでもいいから、そのゴードンのアイデアをここへ吐き出せ!!」
アラン「吐き出せといわれても。」
アラン「えーとですね。静電気発電のアイデアです。自動車には、非常に高速で、空気が車体にぶつかっているはずだから、空気の摩擦によって、静電気が大量に発生しているに違いない。その静電気を回収して、電気自動車の蓄電池に蓄えられば、充電も必要とせず、自動車を走り続けることができるのではないかという、とんでもない発想なんです。」
技師「ナニナニナニ ナニー 静電気発電 静電気。。。。」
アラン「そうです、静電気です。自動車は高速で走っているので、すごい風が車体にぶつかるので。。。」
技師「キタキタキタ。 キター、キター」
アラン「聞いているんですか?絶叫しないでくださいよ。」
技師「もしかすると、もしかするかも」
アラン「どうして、です?」
技師「ガソリン自動車の時は、ガソリンが引火しやすいので、自動車で発生する静電気を自動車に溜めておくと、火花が飛んで、自動車火災になる可能性があるので、徹底的に静電気を逃がす工夫がされていたんだ。少し前の自動車には、アースベルトといって、車体から地面に黒いベルトやチェーンを垂らして、車体に発生する静電気を地面に逃がしていたんだ。だから、ゴードンのいうように、自動車には、たくさんの静電気が発生しているのだ。今は、発生した静電気を、すぐに逃がすように、工夫しているんだ。その静電気を溜めて、蓄電池に蓄えるだと。。。だと。。。だと。。。」
技師「キタキタキタ―、キクキクキクー。」
アラン「どうしたんですか?」
技師「ガソリン自動車の時に、あれほど、嫌われた静電気を、自動車ごと静電気発電機にして、電気を蓄えるだと。。。だと、だと、だと、、とんでも発想だ。あの嫌われ者の静電気を、蓄えるだと。」
アラン「ゴードンはなんとかできるんじゃないかと。。。。」
技師「できるかもしれんな。盲点だった。あまりにも盲点だった。しかし、電気自動車は、電気で動くのだし、たくさんのコンピュータで制御されているのだから、ガソリン自動車の時のように、静電気はガソリンに引火して火事にならないかもしれないが、コンピュータを誤作動させる危険がある。しかも、静電気は、高電圧になるので、コンピュータを破壊したり、狂わせる危険もあるな。」
アラン「たしかに、そうですね。それに、空気抵抗はできるだけ小さくしなければならないので、発電用装置をつけることはできません。あくまで、空気抵抗を小さくして、その上で、電気自動車の走行の負担にならないような形で、空気摩擦発電機を考えなくてはなりません。」
技師「いままでの車でも、空気摩擦発電は起きていたし、自動車の空気抵抗は、どうやっても発生するのだから、自動車の表面に発生する静電気を、地面に流さないで、蓄電池に蓄える仕組みを考えればいいんだ。おいおい、もしかすると、無給電電気自動車も夢ではないかもしれないぞ。」
アラン「無給電電気自動車ができたら、それは、とんでもないことですね。」
技師「自動車を風のつよい日に駐車しておくだけで、充電が完了するなんてこともあるかもな。」
アラン「成功したら、アメリカや日本やヨーロッパの電気自動車会社がどきもを抜かれますね。」
技師「これは、絶対秘密だな。主任技師に話して、極秘プロジェクトしてスタートさせよう。」
技師「これは絶対極秘だぞ!。ゴードンにもいうなよ。」
アラン「お口にチャックですね。」
技師「なんだそれは」
アラン「日本にいるとき、工藤博士の小さい子供の口癖でね。その子といろいろ遊んで覚えちゃたんです。」
技師「子供のおまじないか。」
アラン「まあ、そんなところです。ユビキリゲンマンというのもありますよ。」
技師「そうか。では、この極秘プロジェクトの名前な、ユビキリゲンマンだ。」