ゴードンのひらめき 空気中から電気と取り出す方法
ゴードンは、フィンランドで、オーロラを眺めながら、吞気に暮らしているはすだった。毎朝、森林の中を散歩して、湖の中を泳ぎ、近くのレストランで、朝食をとってから、ノンキ社に出勤していた。
ほとんど毎日、エバは、レストランで、ゴードンの来るのをまっている。
その日は、フィンランドでは珍しい嵐が吹き出していたので、ゴードンは、半分濡れ鼠になって、レストランに駆け込んできた。すると、まだ、朝だというのに、大きな稲妻が光り、すこし、遠くの森の中に、雷が落ちたようだった。
レストランの窓が、ブオンと震えた。お店の若女将は、アッという声をあげて、ノッポの主人の陰に隠れていた。フィンランドでは珍しい嵐だ。
ゴードンはノンキに、濡れた服をどうしようかと考えて立っていたので、エバが駆けよるのをみて、店の主人は、自分のトレーナーの上下をもってきて、ゴードンに着かえるように渡してくれた。
この嵐では、今日は出勤できそうもない感じで、ゴードンは、暖かいスープとサンドイッチを頬張りながら、窓の外を眺めていた。雷も、遠くに去り始めていた。
ゴードンが、エバに聞いた。「雷の電気は、どこからやってくるんだい。」
エバ「空の空気と空気が、ぶつかりあって、巨大な静電気ができるのよ。何万ボルトにもなるんだから。さすがのゴードンも、打たれたら、死んでしまいますよ。」
ゴードン「どうして、雷が電気だってわかるんだい?」
エバ「昔、フランクリンという人が、凧をあげて、調べたのよ。学校で習わなかった?」
ゴードン「学校ね。学校。。そういえば、習ったかな」
エバ「こうやって、このブラスチックの板を、セーターでこするでしょ。すると、電気が起きるの。静電気という電気だけど、ちゃんとした電気。ほら、小さな紙をひきつけたり、私の髪の毛を、引き付けたりするでしょ。」
ゴードン「ふーん、そうだね。静電気という電気だね。」
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ゴードンからアランへ
ゴードン「タンバ国に帰ってきて、今、ルル電気自動車にいるんだって」
アラン「そうなんだ。僕に、是非来てほしいというのから、どんなに歓迎してくれるのかとおもったら、ドイツ人に馬鹿者扱いされてしまったよ。まあ、それでも、僕のアイデアを採用してくれることになったんだけど。」
ゴードン「電気自動車つくるの楽しそうだね。」
アラン「タンバ国やアフリカは、まだ、自動車が少ないから、すべて、新しい概念で電気自動車を開発できるからね。人が運転する自動車がいない前提で、自動運転を考えられるのは、たのしいね。ドイツ人もすっかり、張り切っているしね。」
ゴードン「実はね、今朝、フィンランドで珍しい、雷をみたんだ。そしたら、アイディアが空中からやってきたんだけど、聞く気ある。」
アラン「どんなアイデアだい。」
ゴードン「空気中から、電気を取り出す魔法の方法さ。」
アラン「空気中から電気を取り出せれば、誰も苦労をしないと思うけど。」
ゴードン「それが、出来るんじゃないかと思うんだけど」
アラン「どうやってやるんだい。」
ゴードン「雷は、空気と空気がぶつかりあって、電気を起こすんだ。そこで、自動車が、空気の中を走ると、空気が、自動車にぶつかるだろう。摩擦が起きて、自動車と空気の間に静電気が起きているはずなんだ。その静電気を、車の電池に蓄えれば、いんじゃないか。もしかすると、高速で自動車は走れば走るほど、大量の電気を生み出すんじゃないかと、思うんだけど、どうだろう?」
アラン「たしかに、自動車と空気は摩擦でこすれているので、電気を起きているかもしれないな。でも、どうやって静電気を、電池に集めるんだい。」
ゴードン「そこの方法はまだ、よくわからないんだ。たとえば、自動車の屋根を静電気の発生しやすいプラスチックかなにかで、つくる。それだと、静電気は逃げ場ないかた、溜まる一方だよね。そこで、通電できるケーブルで、1秒置きぐらいに通電して、電気を回収する。その電気を電池に貯めるというのは、できないだろうか?」
アラン「たしかに、うまく電気を溜めることがでれば、画期的かもしれないな。」
ゴードン「うまくいくかもしれないだろう?」
アラン「ドイツ人に話してみようかな。かれらは、論理的なことしか考えられないので、とんでもないアイデアに出会うとパニックになってしまうんだな。きっと、こんなことをいいだすと、まず、最初に、お前は大馬鹿ものだ。そんなことができるわけがないっていうにきまっているなぁ。なにか、小さな実験でも、ちょっとした実例があればいいんだけどね。なにか、ないかな?」
ゴードン「摩擦で、静電気が起きるのは、常識だから、その静電気を電池にためる方法だな。昔、フランクリンという人が、壜の中に貯めたという実験をしたというけど。もう、150年以上昔の話だけどね。でも、人間が電気に着目したので、静電気との出会いだったのかな。」
アラン「難しいそうだな。絶対、ドイツ人が、大声で笑うのが目にみえているなぁ。」
ゴードン「でもね、車は、時速100kmで走っているなら、すごいエネルギーをとりだせるんじゃないかな。自動車の空気抵抗をどんなに小さくしようとしても、物理的な大きさがあるんだから、絶対、摩擦を無くすことはできないから、きっと、すごい、エネルギーを得ることができるはずだと思う。たとえば、10㎝四方のパネルで、太陽光以上の電力を生み出せれば、それを車の隅々まで、貼ればいいんだから、最初の10㎝四方のパネルに時速100kmの風を当てて、太陽光パネルに匹敵する電力が生み出せるかが、勝負だな」
アラン「まず、ドイツ人に話す前に、ちょっと実験してみよう。うまくいけば、充電のいらない電気自動車が出来てしまうぞ。」