ハル君の修理
それは、なんの前触れのなくやってきた。
ドアのベルがなるので、オサム君がドアをあけると、そこには、見知らぬ野球帽のような帽子をかぶったお兄さんがいた。
「ハル君が故障したので、修理に来ました。」
「ハル君、故障しちゃったの?」
「オサム君。心配しなくて大丈夫だよ。ちょっと、No.482501 の部品の調子がおかしいので、ちょっと見てもらうだけだから。」
「ハル君。そのベットの上に横なってください。」
「え!。僕はベットの上には登れません。」
「仕方がないなぁ。僕が、床の上に寝転んで、ハル君を修理しますので、ハル君、動かないでくださいね。」
「えーっと。NO.482501 の部品は、ハル君の足の上の奥の奥なので、これを開けて、どかして、ネジを回して、交換ですね。よっこらしょ。」
「これで、完了。ハル君、蓋をする前に、ちゃんと動いているか確認してください。」
「はい。チェックします。クィーン。 大丈夫です。いままでの部品は、一ミリセカンド遅くなっていたので、僕が動こうとすると、すこしつんのめりそうになるを、いつも踏みとどまっていたんです。」
「これで、安心して移動できます。」
「ハル君、治ってよかったね。」
「ハル君。この部品は、生産上の不良品だということは判明しましたので、今回はリコールで、無料ですよ。」
「よかった。僕は、まだ、工藤博士から、給料をもらっていなかったので、すこし、心配になりました。」
「ふーん。ハル君は、お父さんから、給料をもらうのか。いいなぁ。僕も、給料欲しい。」
「オサム君が18歳になったら、貰えると思うよ。それまで、まっていてね。未成年者を働かせると、工藤博士が怒られてしまうかもしれませんものね。」
そのとき、オサム君は、ハル君がお金を多少なりとも持っているのを知りました。
「では、修理が完了したので、僕は帰ります。頑張ってくださいね。ハル君。」
「はい。頑張ります。」
いったい No.482501 の部品とは、なんだったんでしょうか?
なぜ、オサム君しかいない時に、修理のお兄さんが来たのでしょうか?
オサム君は、修理してすこし元気になったロボット犬ケーンを遊び出しました。ロボット犬ケーンは、以前は、人間の言葉を理解しませんでしたが、最近、人間の会話、ロボット達の会話に、耳をそばだてているような気がします。なぜなら、以前は動くことのなかった耳が時々話し声のほうに動くのを見かけるようになったからです。