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大旱魃を乗り越えろ

ロハハ大統領執務室にて


国土大臣から、この夏の天気について、報告があった。

「今年の夏は、雨がほとんど降っていないため、作物が危機的状態になっている。いつも、夏は、乾季なのだが、今年は、特にひどい。温暖化の影響だと思われる。このまま推移すると、我が国は、食料危機に見舞われる。」


ナロハ国防大臣「たしかに、この夏の暑さは異常だ。山火事も各地で発生しているが、火を消す方法がない。と、いっても、この暑さで、木々も草も育っていないので、燃えるものさえない。」


バージル「このような時に限って、トノサマバッタが大発生するんだ。」


ロハハ大統領「不吉なことは、言わないでくれ。」


バージル「トノサマバッタも、食料危機なので、生き延びるために、大発生するしかないんです。」


ロハハ大統領「彼らを防ぐ方法はないのか。」


バージル「一応、発生を確認したら、駆除部隊が、駈けつけることになっていますが、いつ、どこで、発生するのか、検討もつきません。」


ナロハ国防大臣「トノサマバッタの大群の発生を、監視するレーダーを開発しなければ、ならないなぁ。」


バージル「トノサマバッタは、単なる昆虫なので、現在のレーダーで、補足することは不可能です。」


ナロハ国防大臣「では、気象衛星とか、監視衛星で捕まえることは、できないか?」


バージル「いくら、トノサマバッタの大群が、巨大といっても、数十メートルから100メートル規模ですから、宇宙からの監視は、不可能ですね。」


ナロハ国防大臣「国民に監視を要請しよう。トノサマバッタの大群を見かけたら、すぐに報告するように、ニュースを流そう。わが国防軍の殺虫剤入り砲弾を、トノサマバッタ目がけて打ち込んで、絶滅させてくやる。」


ロハハ大統領「もし、トノサマバッタに殺虫剤入り砲弾を撃ち込むときは、くれぐれも、周辺諸国に誤解を招かいようにお願いします。トノサマバッタは、国境は関係ないので、周辺諸国に逃げ込んだトノサマバッタを深追いしないように。また、周辺諸国からやってくるトノサマバッタは、国内に侵入するまで、攻撃をしないように、くれぐれも注意をお願いします。」


ナロハ国防大臣「それだと、トノサマバッタの根絶がむずかしいが、とにかく、可能な限り対応しよう。できれば、周辺諸国とも、トノサマバッタ撲滅協定を結んだほうが、よいかと思います。」

ロハハ大統領「トノサマバッタの撲滅は、周辺諸国にも、メリットが大きいので、協定についても、協議しよう。」


国土大臣「トノサマバッタの撲滅も大事ですが、食料危機の問題を検討しなければなりません。雨不足のため国土は乾燥しています。巨大サボテンが、空気中からとりだせる水は、ごくわずかで、十分な食料を生み出す力はありません。我が国には、大きな川も、湖がないので、水を供給する方法がない。海に面していてば、海水の淡水化も可能かもしれないが、タンバ国は、海に面してしないので、それも難しい。」


ロハハ大統領「シャロン君、良いアイデアはないかね。」


シャロン「国内中に、人工の池を各地に作って、雨季の時の水を、可能な限り蓄えるという備えをしたらいかがでしょうか。池があれば、魚を育てることもできます。」


サユリ「そうだわ、この国の水道施設は、あまりにも貧弱だわ。各家の水道施設の整備も必要かもしれません。」


マリー「この国の名山といわれる、ルルンバ山から、水道を引いて、タンバ国中に水道施設ができるといいんですが、巨額の資金が必要になりますね。ちょっと、壮大すぎるかしら?」


ロハハ「バージル君、なにか、良いアイデアはないかな?」


バージル「そうですね。この首都 タンタンバの南の低地を防水シートを巡らせて、池を作りましょう。どうせ、ほとんど、荒れ野に近いのだから、池にしても問題はなさそうだ。そこに、雨水や湧水を溜めて、首都、タンタンバの水源にしましょう。ほんとうは、首都タンタンバの周辺に大きな山があるといいのだが、なにもない大平原が、我が国の自慢なので、仕方がありません。」


ロハハ「そうだな。大きな池ができれば、市民の憩いの場所にもなりますね。」


バージル「まあ、すぐに大きな池にはならないと思いますが、できるだけ、水を漏らさないようにしましょう。」


国土大臣「なんとも、素敵な池が出来そうですね。問題は、今年の食糧危機をどのように、乗り切るかです。」


ロハハ大統領「シャロン君、良いアイデアはないかね。」


シャロン「ルル族の伝統に、雨乞いの儀式があって、かなりの高確率で、雨が降るというデータがありますが」


サユリ「シャロン、あなたは、科学的なロボットだと思っていましたが、雨乞いをここで、登場させるとは、驚きですわ。」


シャロン「私も、雨乞いは、科学的とは思えないのですが、しかし、データが、とんでもない実績を残しているので、もしかすると、無視はできないかと。」


マリー「あら、ほんとだわ。偶然にしても、この数字は、異常だわ。なにか、秘密があるのかしら。」


サユリ「あなたまで、何を言っているんですか。雨乞いで雨がふったら、タンバ国は、すぐにでも、農業大国になれるはずでしょ。そうならないのは、そうならない、訳があるんです。まったく、ロボットにくせに、科学的ではないんだから。」


シャロン「でも、どうして、こんな確率で、雨を降らせることが出来たのかしら。」


サユリ「どうしてかというと、雨が降りそうもないときは、雨乞いをしないで、雨がふりそうな気配、雨の匂いを感じた時に、やおら、雨乞いの準備をして、いろいろ祈っていると雨が降ってくるというタイミングで、雨乞いをするから、高確率で、雨がふるというだけなの。どうして、そんなことがわからないんですか?」


シャロン「その可能性も多分に考えられますが、それだけは説明できないケースもありそうな気がします。」


サユリ「あなたも頑固なロボットね。」


マリー「あのー、そのー、確信はもてないのですが、ルル族に、雨乞いをさせてみたらどうでしょう? もし、雨が降らなくても、この国が危機的な状態にあることを、国民みんなで、共有できますし、場合によっては、国連や大国トンドにも、助けをもとめる口実にもなりますし。」


ロハハ大統領「科学立国をめざすタンバ国として、心もとない対策が、とりあえず、ルル族に雨乞いをしてもらうように依頼をだそう。バージル 現在のアフリカの気象状況を分析して、一番、雨が一滴でも、振りそうな日を探しておいてくれ。ナロハ大臣。その日に合わせて、何機か飛行機を飛ばして、水を撒くようにしておいてくれ。ルル族には、私から、正式な依頼をだすことにする。その日を、国民の雨乞いの日として大々的に、行なうので、くれぐれも準備をしておいてくれ。」


バージル「中国に、雨を降らせるためのミサイルがあると聞いたことがありますが、5発ほど、入手しておきましょうか?」


ロハハ大統領「そうだな。中国のミサイルを手に入れておけ。くれぐれも、周辺諸国への攻撃ではないことを宣伝しておかないといけないな。」


バージル「あまり、準備をし過ぎると、ルル族が怒ると思いますよ。まあ、適当にしないと。」


シャロン「ルル族を怒らせると、大雨、大洪水を引き起こす可能性もありますよ。121年前の記録によれば、ルル族の雨乞いの最中に大雨が降りだして、三日三晩降り続いて、大洪水が起きたと書かれています。ただし、当時は、気象庁もなかったので、ほんとうにそうだったのか、証明する方法がありませんが、そのような伝承が残っています。」


サユリ「人間の行うことは、不思議なことも起こる場合も確かに、記録されているから、油断でしないほうが、いい場合もあるわね。」


ロハハ大統領「では、7月の半ば頃、ルル族を中心にして、国家的大行事として、雨乞いの儀式を行うのでみな、準備を進めるように。」










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