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オサム君とロボット犬ケーン

工藤博士の家には、アイボというロボット犬がいた。2000年1月1日生まれで、現在、20歳のおじいさん犬になっていた。名前は、ケーンといった。


オサム君が、5歳なので、十分お祖父さん犬なのだ。


工藤博士が、アイボを買ったとき、ロボット犬 ケーンは、永遠に年を取らないものだと思っていた。

天馬博士がアトムを作ったとき、アトムの背が伸びないことを怒って、サーカスに売り飛ばしてしまったのを、工藤先生は友達から聞いていたのだ。だから、ロボット犬ケーンを購入したとき、このケーンが年を取らずに、永遠の若さを保っているはずだった。普通の犬がどんどん年をとっていっても、このロボット犬ケーンは、永遠の子犬であるはずだった。


しかし、20年は、アイボを老犬にしてしまった。姿形は、大きくならなかったが、動きは緩慢になり、前足も、動きずらくなってしまった。それに、動ける時間もほんのわずかになってしまい、1回の充電で、5分の動きが維持するのがやっとになってしまった。


発売当時、たくさんのロボット犬が販売されたが、その会社も今は、赤字続きで、新しいロボット犬を販売するどころではなく、修理にも応じてくれなくなった。


ロボット犬アイボの愛好家たちは、泣く泣くアイボの合同葬儀を行い、葬儀を行ったロボット犬から部品を取り出し、まるで、生体間移植をするように、修理することが行われているという。

その内、ロボット犬アイボを供養する荘厳で、壮大な寺が建立されるという。


アイボは、20年の月日が経過したが、もともと会話機能は存在しなかった。

しかし、ロボット犬ケーンの前足が、あまりにも、不調のため、アイボを作っていた会社に退職した人が、その前足を修理してくれた。その人は、工藤博士が学生時代の時、ロボット工学を教えてくれた先生だったそうだ。


修理から帰ってきたアイボには、ある変化が発生した。それに気がついたのは、オサム君だけだった。

見かけは、なにも変化がなかった。修理された前足は、動くようになったが、前の足のように、すべすべできれいではなく、幾つかの擦り傷が、小さな凹みがあった。どこかのアイボも前足が、移植された結果だ。

バッテリーも交換されて、一度充電すると、1時間程度は動けるようになった。


最初に気がついたのは、ハル君が、部屋に入ってくると、ロボット犬ケーンが振り返ったことだ。そして、時々、ハル君の方に顔を向けて、耳が動いている




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