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トムサムソンの演説の練習


トムサムソンとポーラは、アメシアスタンの首都、アメシアを一望する小高い丘の上にいた。見晴らし台のようになった岩の上に、トムサムソンが立ち、その横のポーラがそれを見ていた。ほとんど、登ってくる人もいないので、どんな大声を出しても、誰も聞く人もいない。


ポーラがミスタートムに「ここなら、どんなに大声を出しても大丈夫です。そして、首都アメシアの住民30万人、全員に呼びかけるのです。トムサムソンが、アメシアスタンの大統領になった時の就任演説をここで、してごらんなさい。首都30万人の心に響けば、彼らは、今夜不思議な夢を見ます。まだ、その夢の謎は、解けませんが、アメシアスタンの未来に、この国を導くメシアが降臨されてことを感じるはずです。そのメシアこそ、トムサムソン、あなたなのです。」

トムサムソン「ポーラ、君は前触れもなく、とんでもないことを言い出すんだね。僕は、アメシアスタンの大統領になりたいのであって、メシアになろうしてしている訳ではないんだ。」

ポーラ「それは、わかっています。でも、そんな気持ちでやってみることが大切なのです。無一文で、王家の先祖も持たないミスタートムが、大統領になるには、宇宙の力、天の力、神の御加護が必要です。それは、あなたの内なる大統領と、宇宙と天と神との共感する力が、不思議なパワーを与えるのです。」

トムサムソン「そうか、では、演説を始めようか。」


「アメシアスタンの国民の皆さん、私を大統領に選んでくれてありがとう。皆さんの期待に応えるように、全身全霊をもって、この職務を全うするつもりです。この国の本当の財産は、皆さん自身です。アメシアスタンは、欧米列強の国々に比べれば、財力もなく、人口も少ない、電気文明や工業製品も少ない。軍隊もまだまだ弱小である。しかし、アメシアスタン200万人の国民は、自由で、聡明で、豊かな心をもっている。この豊かな心こそ、この国の宝であり、富であり、力である。」

「国が発展していくには、ある程度の時間が必要だ。この国には、素晴らしい可能性に満ちている。この国は、小国ながら豊かな大地がある。それ故に、周辺諸国の侵略に悩まされてきた。しかし、世界は、ある程度安定した形を持ち、理由もなく他国を攻めることがことが出来なくなってきた。まず、この豊かな農産物を輸出することで、外貨を稼ぎ、国の形を作ろうと思う。私に与えられた5年間は、アメシアスタンの土台作りにもっとも大きなエネルギーを注ぐつもりだ。その繁栄のためにみんなの力を貸してほしい。」


ポーラ「素晴らしい演説です。その調子で、もっと、力強く、そして、なにが、人に勇気を与え、国家を繁栄させるのか、掴みとる必要があります。でも、初めての演説にしては、たいへん素晴らしい。いままでのミスター トム以上の力は出ています。」


トムサムソン「神よ、このアメシアスタンの力を与えたまえ。大いなる神の光を注ぎたまえ」


神「欲張るではない、すべては与えられているはずだ。この台地の恵みは、その証だ。太陽の光と雨は、大いなる神の証だ。」


トムサムソン「神よ、このアメシアスタンの恵みを国民を代表して感謝いたします。」


神「そうか、感謝すると申したな。では、どのように感謝するのかな?」


トムサムソン「わが願いがかなうならば、この命、この魂」



「やめさない」


ポーラの鋭い声が飛んだ。


「ミスター トム。悪魔と取引をしてはいけません。悪魔の誘惑にのってはいけません。」


神「ちぇ! もう少しだったのに、このオンボロロボットめが。」



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