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「やい、ロボット、わしを大統領にしろ」「かしこまりました。」

「やい、ロボット、わしを大統領にしろ」

「かしこまりました。」

「ほんとうか」

「はい。では、どの国の大統領になりたいのですか?」

「もちろん、この国、アメシアスタンの大統領だ。」

「かしこまりました。まず、私を男性とするか、女性とするか選択してください。おすすめは、女性です。男性にしてしまうと、あなたが、ライバル意識をもってしまう可能性があります。」

「では、女性にしよう。」

「女性の声に設定します。次に名前を決めてください。素敵な名前にすることが大切。これを間違うと大統領になれません。」

「なんだが、クイズのようなことになってきたな。まさか、お前のクイズにすべて回答したら、大統領になれるというんじゃないだろうな。」

「あたりではありませんが、はずれでもありません。大統領になるということは、だいだい、そんなものです。クーデーターを起こすという例外的な手段もありますが、国民が、大統領になってほしいと思われる人がなるのですから、そのような人になれば、自然に大統領になれます。特に、難しいことはありません。」

「おいおい、そうなのか?」

「私に、まず、素敵な名前をつけてください。ここで、あなたが大統領になれるセンスがあるか、わかります。」

「えーっと、えーっと、えーっと、サファイアは、どうかな?宝石の名前だ。女性の名前にいいだろう?」

「まあ、あなたの中では、最高ランクの名前ですね。でも、ちょっと、秘書らしい名前ではありませんね。」

「どうして、名前にこだわるのかな」

「あなたが、大統領になるんですよ。そのあなたが、秘書のロボットに、サファイアと呼んで、かっこがつかないではありませんか? 国民は、イメージで動くのですよ。」

「では、秘書らしい名前を考えるとしよう。そうだ。ポーラはどうだ。かわいい感じがするぞ。」

「そうですね。ポーラはいいかもしれません。では、ポーラにします。年齢25歳。フランス留学経験あり。経済を勉強して、経済学マスターありとしましょう。」

「おいおい、そんな学歴詐称はいけないんじゃないか。」

「私はロボットですので、その資格で、なにかするわけではありません。ある程度のアイデンティティを決めないと会話も難しくなってしまうので、大統領を目指す男の秘書らしい設定が必要なのです。」

「そうか、では、よろしく」

「ところで、あなたの名前はなんですか?」

「コンゴグリー ラノベリズ サンダーマンだ。」

「誰も、覚えられない名前ですね。なにか、すっきりした、大統領にふさわしい名前にしてください。」

「おいおい、名前を自分で勝手に変えて構わないのかね。」

「構いません。野球選手、政治家など、本名でなく活動している人もたくさんいます。ロシアのスターリンも、本名ではありませんし、カンボジアのポルポトも本名でありません。いいんです。勝手な名前で。しかもあなたを知る人など、ほとんどいないのです。いまのうちに素敵な名前にしましょう。ただし、このアメシアスタンにふさわしい名前が必要です。」

「えーと、大統領にふさわしい、よい名前だな。えーと、 トム サムソンは、どうだ。」

「まあ、いいかもしれません。では、トム サムソンにしましょう。これから、私は、あなたのことをミスター トムと呼びますよ。」

「OK。わしは、今日からミスター トムだ。」

「まず、この国の言葉 アメシア語と英語の2つを習得しましょう。」

「わしは、アメシア語は、毎日しゃべっているし、英語の多少はしゃべれるぞ。」

「大統領の力は、言葉です。言葉がすべてです。もちろん、見た目の大切ですが、それ以上に、言葉の力はなけば、人々を導くことはできません。だから、正しいアメシア語と英語の習得は不可欠です。」

「そうか。」

「では、まず、アメシア文学最高峰のアメシア神話10巻を読んで、暗唱できるようにしてください。それから、世界の大国の大統領の演説のビデオをみて、そのパワーの秘密を盗んでください。」

「あのー。そんなことで、わしは、大統領になれるかね?」

「このポーラにすべてをお任せください。ミスター トムを、大統領にしてあげます。ただし、ケガをしたり、病気になって、死なないように注意してください。大統領は、長生きと体力が不可欠です。ミスタートムが死んでしまえば、大統領になることはできませんものね。」

「そうか」

「そうです。あなたの言葉の力で、何十万人、何百万人、何千万人の心を動かすのです。もし、国連で、演説するときには、世界中何十億人の心を揺さぶる力を持たなければなりません。」

「そうだな。言葉がすべてだ。それ以外になにもないのだ。」

「そうです。世界を言葉で動かすのです。声を鍛えてください。発音を綺麗にしてください。そして、センスを磨いてください。いまから、あなたは、内成る大統領の芽を育てるのです。言葉の力で、自分の内成る大統領を確かに育てるのです。ミスター トム。私には、10年後、20年後の未来が見えますよ。あなたの内成るなる大統領 ミスター トムの素晴らしい姿が。いまは、信じられないかもしれませんが、私には、既に、10年後、20年後のミスター トム大統領の姿が見えています。」




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