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アランが話してくれたこと

アランによれば、世界ロボット博覧会は、大盛況のうちに終わったようだ。とくに、工藤博士のセッションが一番、にぎわっていたといった。

工藤博士は、メガソフトやハイッテイル社のセッションも人気だったのではないかというと、メガソフトやハイッテイル社の社員は、みんなスポーツマンタイプで、あまり、コンピュータやロボットの話はしなかったそうだ。

工藤博士一家は、世界ロボット博覧会には、あまり、興味がなくて、サファリツアーに行ってしまったので、世界ロボット博覧会は、あまりよく知らないままで、帰ってきてしまった。


ハイッテイル社のブースでは、小型犬型、猫型、パンダ型会話ロボットは非常に安値で販売をしていた。癒し系グッズ、会話型ロボットである。

メガソフト社の世界最高峰の人工知能 ホイが、多くの質問に答えるという実演をしていた。以前のような暴走はなく、それなりに賢さを出していた。

ノンキヤ社も建物全体、会社全体を一括管理するシステムを提案していた。無駄な電気や入出管理、防災、仕事の出勤まで、自動的な管理を可能にし、仕事の進捗状況の把握も可能にしていた。しかし、ノンキヤの名とは正反対の超監視社会の到来の匂いもしていた。

ブースの隅には、ムーミン型人形の携帯などが展示されていた。

しかし、なんといっても、圧巻は、タンバ国セレクタ社の政治家秘書ロボットであった。その人気のプログラムは、美人ロボット シャロンとサユリとマリーの政治対談だった。

なんと、その話題は、ロハハ大統領、国務大臣、国防大臣をどのようにサポートしてきたかという実践報告であった。


彼女らの会話はとても面白く、多くの人が笑い転げていた。

しかし、この話は、事前に十分検証されており、全ては、シナリオが作られていたのだった。しかし、それは、漫才や落語、劇でも、シナリオが作られ、練習されているのと同じであった。

アランが、聞いたいくつかの話をしてくれた。


シャロン「私がロハハ大統領から、アフリカ経済の今後のついて、聞かれたの」

マリー「それで、なんと答えたの?」

シャロン「私は、数秒で、アフリカ各国の貿易統計、国民総生産、各国の国立銀行の経済予測を集めて、分析したの。そして、10秒もたたない内に、経済は上向きであるという判断をしたので、そのように伝えたの。」

マリー「すごいわね。タンバ国の財務省のスタッフが聞いたら、10秒で出せるわけがない。すくなくとも、5人掛かりで、1週間かかかるというに違いないわ。」

サユリ「タンバ国の周辺諸国は、まだ、あまり経済が発展していないので、統計はあまり当てにできないと思うけど、大丈夫かしら?」

シャロン「たしかに、タンバ国の周辺の中央アフリカの経済状況は、難しいわね。」

マリー「なぜ、タンバ国の周辺の各国が、なかなか経済発展しないのは、きっと、私たちのような政治家秘書ロボットがいないからだわ。」

シャロン「そうだわ、きっと。」


すると、会場から、質問があった。若い青年であった。

青年「あのー。なんでも、政治家秘書ロボットを雇うと、無名の人でも、選挙に勝てると聞いたのですが、本当でしょうか。」

マリー「それについては、マリーがお答えします。実は、政治家秘書ロボットのプロトタイプ版が、中央アジアのアルベキスタンで、最初に活躍したのです。それは、偶然の出来事でしたが、タンバセレクト社のロボットを偶然手に入れて、その詳しい話は、ここでは省略しますが、あなたのような無名の若者が、県知事選挙に出ることになり、なんと、選挙に勝って、その後の選挙で、大統領になってしまたんです。」

青年「たしかに、アルベキスタンの大統領選挙は、小国の選挙でしたので、国際的な話題にはなりませんでしたが、事前の予想を大きく覆して、ほとんど無名という青年が選挙に勝ったと聞きました。」

マリー「そこで、タンバセレク社は、どうして、この選挙を勝てたのか分析したところ、さきほど、シャロンが紹介したように、政治家秘書ロボットの有能さは、情報収集能力とその情報の分析力という結論にいたり、私たちのような本格的で、優秀な政治家秘書ロボットを開発し、生産に乗り出したのです。」

青年「どうして、政治家秘書ロボットは、みんな女性なのですか?」

マリー「政治家秘書ロボットを男性型にするか、女性型にするかは、自由に選択することが可能です。先ほどのアルベキスタンのロボットは男性型のようですが。ただ、男性型にしてしまうと、政治家秘書ロボットの優秀さに、劣等感を抱いたり、競争意識、ライバル意識をいだくケースがあるようなので、政治家秘書ロボットは、女性型の方が、人気のようですよ。男性の競争意識、ライバル意識は、なかなか無視できないようです。優秀な秘書は、政治家を不安にしてしまうようです。」

青年「そうですか?皆さん美人ぞろいですね。」

マリー「それは、どうも。」

青年「私が、政治家を目指す場合、選挙に出て勝てるでしょうか?」

マリー「もちろん、小さな地方選挙なら、圧勝すると思いますが、大きな選挙、国の命運を左右する大きな選挙の場合は、政治家自身の本当の心が重要です。あなたが、理想な政治家や大統領になる資質があれば、政治家や大統領になれると思いますが、私利私欲、野心、恨みや復習心があると、道を間違うものです。どんなに優秀な政治家秘書ロボットがいても、その私利私欲や野心、恨み、復讐心のために協力するのは難しいと思います。」

青年「私は、理想の政治家に成れそうですか?」

マリー「私がみたところ、よい政治家になれそうな気がしますが、大物政治家にはなれないかもしれません。なにか、カリスマというものが、すこし、足りないような気がします。でも、タンバセレクタ社の政治家秘書ロボットを利用すれば、それなりの政治家になれそうな気がします。一つだけ、忠告をしますが、あなたは、政治家秘書ロボットを映画スターのような美人にしないことです。あなたの周辺でみかける人にするか、ロボットでわかるロボット型を勧めます。」

青年「わたしは、あなたのような美人の政治家秘書ロボットがほしいのですが」

マリー「あなたが、美人ロボットを手にいれると、そのロボットに恋をして、政治家になることができなくなります。大物政治家になるまで、美人ロボットを手に入れてはいけません。この忠告を守らない限り、あなたは、優秀な政治家になることはできません。あなたの弱点は女性ですよ。美人に騙される可能性がありますよ。」

青年「そうですか?あなたは美人なので、ぼくは、今も騙されているかもしれませんね。」

マリー「見た目に左右されないことです。私たちの優秀さを、惑わされないで分析してみてください。」

そこで、青年の質問が区切りがついたと判断したサユリが、

「会場のみなさん、今回タンバセレクタ社が、世界ロボット博覧会の開催を記念して、会場の皆様にかぎり、1年間の無料貸出しを実施します。一年後に自動停止するようになっていますので、その間に、購入の可否をご検討ください。登録は、会場の端末で貸出手続をしてください。先着100台までです。今回は、個人向けのみです。一人1台です。転売は不可です。このロボットには、安全装置がついており、不正の目的の利用や不正な譲渡、分解等をおこなった場合は、自動的に停止しますので、くれぐれも、目的外の使用はしないでください。今回の無料貸出用ロボットは、ロボット型の原型タイプです。外見を変更する場合は、個別の対応が必要ですので、購入することをお勧めします。最初は、少額ローンで、大物政治になった場合に購入するというオプションもありますので、ご検討ください。」


と、ここまで、アランが話すと、シャロンもサユリもマリーもすごいセールスマンだったといって、工藤博士の顔をみて笑った。今度、タンバセレクタ社は、セールスマンロボットを売り出すに違いないといって、笑い転げていた。





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