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工藤博士一家、タンバ国に行く

「お母さん、僕は、タンバ国での講演があるし、ちょっと行きたいところもあるので、アランと先に、出かけるよ。お母さんとオサム君とハルくんは、4日後にきてくれ。それから、みんなで、タンバ国のサファリツアーに出かけようと思うが、どうだろうか?」

「タンバ国のサファリツアーですか?他には、何かないんですか?大きな教会とか、お寺とか、ピラミッドとか。」

「アダムス4世とアランが一生懸命考えてくれんたんだが、他には、観光と呼べるものはないんだな。あるのは、大草原と砂漠、山と川もあまり無いようなんだ。そこで、大草原のサファリツアーがいいんじゃ無いかという提案だ。流石にテント暮らしはできないので、キャンピングカーを手配してくれるそうだ。」

「サファリツアーですか?オサム君どうする。サファリツアーだって。」

「行く行く絶対行く。ハル君、ちゃんと記録して、おばあちゃんとおじいちゃんに見せるんだぞ。」

「その点は、大丈夫です。」

「ハル君、大草原をあまり走り回ると、ひっくり返るぞ。」

「あまり、はしゃがないようにします。」

「では、決まりだな。」


「では、タンバ国に、アランと僕が先に行く。それから、4日後に、おいで。待っているからね。」


工藤博士とアランが、タンバ国に着くと、荷物もそこそこにして、アランが手配した車で、ルルンバ山に向かった。ルルンバ山についた頃には、夕方になっていたので、近くのホテルで一泊した。タンバ国の富の源泉である金鉱山のため、多くの労働者が集まり、タンバ国第2の人口 5万人を誇っていた。しかも、近代化がどんどん進んだ関係に、リトルニューヨークの異名をもらっていた。多くのルル族の近代化の為に若者が世界をみる機会が与えられたので、ここは、タンバ国で最も、近代化の進んだ街になった。首都タンバより、近代化のペースは、早かった。


夜が明けるのを待って、アランと工藤博士、ルル族の案内人の3人は、ルル族の聖地と呼ばれる洞窟の中をみて回った。確かにアランが言った通りに、その洞窟は単なる洞窟で、文明の痕跡らしいものはなかった。洞窟の奥に、かつての人間が生活した痕跡と小さな墓らしいものがあった。洞窟の右側には、洞窟の壁をほりこんだ神社のよう祠のような形になっていた。その柱や周辺には、何やら模様らしいものが掘り込まれていた。ルル族の案内人によれば、草のつるを描いたものだと考えているという説明だった。ルル族には、文字はないので、文字という可能性はないとの結論だった。

工藤博士が、東京の研究所で、アランのパソコンに映し出されたときに、見えた「不思議な文字」は、間近で見る限り、「不思議な文字」には、見えなかった。念のため、アランに、祠の周辺の写真を可能な限りたくさん撮るように支持した。

これと言った手がかりがないまま、工藤博士とアランとルル族の案内人は、洞窟を出て、ルル族の文化保存博物館を見学した。この博物館は、ルル族の文化、伝統を保存するために作られたもので、予言者ノーランの映像の分析を続けていた。ルルンバ山周辺の遺物も展示してあった。日本の田邊先生が、人類の発祥の地を発表したことは、ここにも伝わっていたが、その物的証拠は、現在、何もないということだった。

あえて言えば、ノーランの話と奇妙な一致があると言えばあるが、田辺博士に研究方法と予言者ノーランの話は、全く、別なもので、混同しないほうが、良いと、案内人が言った。

 工藤博士が、超古代のコンピュータが出てきたはずだが、というと、案内人がよくご存知ですねと言って、大きな虫眼鏡の置かれた子供の拳大の石を見せてくれた。確かに、その石の中央には、1cm角の四角痕跡が残っていたが、分析のため、色々調査してしまって、超古代コンピュータの本体部分は、全て、削り落ちてしまった感じで、この状態になってしまってから、これを、超古代のコンピュータというのは、難しい状態だった。

夕方になったので、、ホテルでもう一泊して、アランと工藤博士は、翌日の午前中に、国際ロボット博覧会の会場にたどり着いた。すでに、博覧会開始から、1週間がすぎていたが、その日の午後、工藤博士のアダムス4世の研究についてに発表が、予定されていたので、予定通りの行動だった。

しかし、工藤博士としては、工藤家の「不思議な文字」についての収穫はほとんどなく、少し、疲労感があった。

工藤博士の人工知能研究 アダムス4世は、他の人工知能とは、全然別の発展をしており、人工知能研究のガラパゴスと呼ばれており、工藤博士の発表を理解できる人は、この世界に数人だけだと言われていた。

今回の発表にあたり、50人ほどの部屋が用意されていたが、参加した研究者は、10名に満たない数であった。それは、当然予想されていたので、アランが科学技術大学の後輩に呼びかけて、30人ほどの学生を呼び込んでいた。

まず、ロジャー校長が、アランがお世話になっていることを紹介して、工藤博士に最新研究の紹介を30分ほど行った。問題は、工藤博士の研究があまりにも、ガラパゴス的なので、研究の前提条件、用語についても、理解できるものも、ほとんどいなかった。参加者にとっては、少し、退屈で苦痛と思える30分が終わり、アランの司会で、質疑応答が始まり、後輩から、アランに日本に行って何が、楽しいかと質問がくると、寿司、天ぷら、丼など、食べ物名前が飛び出すと、一体、それはどんな食べ物かという質問が飛び出してきて、アランが、即興で、日本の食べ物を検索してして、スクリーンに次々と表示して説明することになり、工藤博士の研究発表は、日本の食べ物説明会に変化して、大盛りあがりの発表会になった。

最後に、ロジャー校長からも、この調子では、科学技術大学の食堂に日本食コーナーを作らないと、反乱が起きてしまいそうなので、ぜひ、日本の料理を作れるコックさんを派遣してほしいという始末であった。

しかし、他の発表会場に比べて、笑い声や時間の足りなさなどが際立っており、今回の国際ロボット博覧会の中でも、最も人気のあった発表会として、記録されてしまった。


今回の発表会を一番注目していたのは、アレックスであった。会場の隅で、微動だにせずに会場の飾りのような雰囲気で立っていた。かつて、タンバ国に来る前に、ムーミンからアダムス4世には気をつけろと言われていたので、工藤博士の発表を注意深く観察していた。確かに、一般に知られている人工知能とは、確かに違っており、ガラパゴス的発展であることは間違いなかった。このアダムスが、今後、5世、6世、7せいと進化していくのかは、疑問だった。工藤博士の後継者にも、有望な研究者はいないようだった。その意味で、アランが今後、優秀な人工知能研究者になれるかは、少し疑問があるように思われた。アランの日本行きが、今後の良い結果になれるように、注意して置かないといけないと考えた。

そして、俺も、寿司や天ぷらを食べてみたいと漠然と考えているのを知って、僕は、ロボットなのに、どうしたことだろうとぼんやり考えた。








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