タンバ国の国際ロボット博覧会
いよいよ、タンバ国での国際ロボット博覧会が始まろうとしていた。
ロハハ大統領は、目一杯のおめかしをしていた。
その横に控えるのは、タンバ国の3美人政治家秘書ロボットのシャロンとサユリとマリーであった。
ロハハ大統領の胸には、大きな赤と白のリボンがついており、ロジャー科学技術大学校長の司会で、国際ロボット博覧会の開会が宣言ざれ、タンバ国の3美人政治家秘書ロボットが紹介された。
ロハハ大統領の開催宣言は、5分程度で終わり、参加者は、それぞれ各企業のロボットの展示コーナーや各研究発表会に散っていった。
今回全世界から、35か国と63の企業および、ロボットの個人研究者などが、集まっていた。
タンバ国の首都 タンバ市は、人口7万人ほどの町で、タンバ国一の大きさを誇っていたが、1kmほどの中央道と、飛行場をつなぐ道路は、舗装されていたが、他の道路はまだ、未整備状態に近かった。灼熱と乾燥の大地は、すこし、ほこりぽく、真っ青の空の中で、太陽がギラギラと輝いていた。国際ロボット博覧会の期間、定期的に散水車が水を撒くことになっていた。
会場の周りにも、たくさんの植木鉢が置かれて、花々を咲かせていたが、灼熱と乾燥の大地を、豊かな大地に見せるほどの効果はなかった。
アランが考案した、巨大サボテンが、いたるところに乱立していた。タンバ国緑化の切り札でもあり、地球の温暖化を防止するための大きな手段でもあった。
発泡スチールでできた家は、灼熱の熱さを緩和して、適度の涼しさをたもって、なかなかの評判であった。
どこか、北欧の長身の白人のような雰囲気が後ろ姿にでてきたゴードンが、エバとミンミンとならんで歩いてくるのは見えた。
3人のポケット中には、ムーミンとノンノとスナフキンの人形型携帯電話が入っていた。
ノンキア社も新しい人工知能型会話ロボットを展示して、ビル全体の防犯、監視、空調、駐車場管理、人の出入りまで、すべて丸ごと管理するシステムを提案していた。
ゴードンが、イスラエルのTEI社の展示ブースの前を通りかかると、エバは、さりげなくTEI社の社長をゴードンに紹介した。ゴードンは、エバ以外のTEI社関係者にあうのは、はじめてだった。TEI社の社長は小柄な人だった。大柄で長身のゴードンは、TEI社の社長を見下ろすような感じになってしまうのに、非常に気まずい感じを受けて、挨拶もそこそこに立ちさろうとした。TEI社の社長は、今夜夕食でもいっしょに食べないかといったのを、エバが、仲立ちして、了解の返事をした。
バージルは、ハイッテイル社の社員の到着をまっていた。国連地球温暖化防止委員会からの表彰式は、午後3時に予定されていたが、ハイッテイル社の社員の到着が遅れている。国連地球温暖化防止委員会は、ハイッテイル社の表彰式にかこつけて、ビットコインのマイニングを停止させたがっていた。もともと、ビットコインのマイニングに、電力と時間がかかるのはわかっていたので、だれも、そんなことに時間と手間暇をかけるはずがないというのが、基本発想であったのに、ビットコインの高騰により、多くの人たちが、一斉に、ビットコインのマイニングを初めてしまったのだ。これは、早い者勝ちという原理で、動いているので、多くの負けが使った電力と時間は、無駄になる。例をあげれば、全国高校野球大会で、優勝するのは、1校のみである。それが、1000校あれば、999校は、優勝しないわけだ。高校野球なので、参加し、戦うことに意味があるのだが、たった一校をきめるために、他の999校は負けるわけである。その999校の努力や経験は無駄にはならないのだが、ビットコインの場合は、単純な計算式をひたすら行うだけなので、早い物勝の1つを決まってしまうために、999の努力は一瞬にして無駄になる。その無駄もものすごいものなのだが、ビットコインの高値につられて、世界中で莫大な無駄を行っているのだ。
国連温暖化防止委員会としては、この膨大な無駄をなんとか、無くしたい。そのためには、ビットコインのマイニングを国連温暖化防止委員会の管理下にしたい。そうすれば、仮想通貨を、国連温暖化防止委員会の管理下で、許認可という巨大な権利を得ることはできる。
そのチャンスが、国連温暖化防止委員会に、やってきたのだ。このチャンスを逃すわけにはいかない。それには、世界的CPUメーカーのハイッテイル社を味方に引き入れる必要があったのだ。
なんと、午後2:55分に、ハイッテイル社の社員が、リュックサックを背負い駆け足で飛び込んできた。飛行場から、車で30分はかかるその道を、ハイッテイル社の社員はなんと、徒歩で駆け抜けてきたという。そんなことは人間が出来るとは思えなかった。もしかすると、彼らは、ハイッテイル社が作り上げたアンドロイドかロボットか、バイオニック人間かもしれなかった。
午後3:00には、彼らは、きちんと壇上に座り、バージルの司会のもと、国連地球温暖化防止委員会から、CPUのパワーを削減する技術を国連温暖化防止委員会に提供して、絶大な効果を上げたことで、ここに、地球温暖化防止委員会より表彰するという式が行われ、表彰状とソフトのロゴに使われた大王イカの形をしたトロフィーが授与された。
その後、国連温暖化防止委員会委員長が演説を行い、ビットコインのマイニングの急増によって、われわれの努力も水の泡になろうとしており、ビットコインのマイニングを国連の監視下に置き、国連の許可なくマイニングを行えないようにするべきだという提案をしたいという説明があり、参加者の同意を求められた。
しかし、ビットコインを国連の監視下に置くことは避けたい参加者は、拍手もしないので、気まずい雰囲気になったが、そこは百戦錬磨の国連温暖化防止委員会委員長だ、特に意義はないようですねと、その気まずい雰囲気を解釈して、話のまとめに入り、セレモニーは大成功の雰囲気を残したまま、終了した。
ハイッテイル社は、参加者の拍手の中、会釈をしながら、降段した。彼らの任務の90%がこれで終了した。あと、彼らにの残された役目は、無事生還のみだ。
一体、ハイッテイル社は、一体、何をそんなに恐れているのか、不明だったが、タンバ国の一青年のとんでもないアイデアが、ハイッテイル社の社運を脅かすほどの衝撃を与えた以上、タンバ国を侮ってはならないというのが、ハイッテイル社の教訓なのだ。