国連地球温暖化防止委員会がビットコインの使用中止を求める
バージル保安部長から、ロジャーに、連絡が入った。
「ロジャー財務大臣、私たちのビットコインに不正アクセスしている犯人を突き止めました。」
「バージル、よくやった。いったい、それは、誰だね。」
「はい、国連地球温暖化防止委員会です。」
「どうして、彼らだと分かったのな。」
「実は、彼らは不正アクセスの意図はなかったようですが、結果的に不正アクセスのようなことになってしまいました。」
「それは、どうしてだね。」
「この間、国連地球温暖化防止委員会が、温暖化の原因は、無数にあるコンピュータの排熱が大きな原因の一つだと、発表して、CPUの排熱防止策が発表されました。」
「そうだったね。たしか、スイスでその監視を行うことになったと聞いているが。」
「そうなのです。そこで、世界中のコンピュータのCPUの利用削減をし、地球温暖化防止を行うはずだったのですが、ビットコインの登場によって、コンピュータのCPUの利用が急増しているのです。それも、半端な数字ではありません。何十倍、何百倍というレベルではなく、何万倍、何百万倍という勢いで、CPUの排熱が増加しているのです。」
「たしかにそうかもしれない。ビットコインは、計算の塊のようなものだからな。」
「国連地球温暖化防止委員会もようやく世界中にCPUの利用制限をかけて、5%、10%の削減を実施しようと呼びかけをしていたのに、ビットコインのブームによって、削減どころが、とんでもない急増になっているんです。」
「でも、自分のところのコンピュータを利用すれば、そんなとんでもないことにはならないのではないか。」
「いやいや、世の中には、やはりとんでもないやつがいて、世界中のコンピュータを巻き込んで、ビットコインの発掘に利用させようと、企んで、ウイルスまで作成してばらまいたようです。」
「それが、原因になってしまった。」
「そうなんです。いくらでも、新聞記事が見つかります。ビットコインのマイニング(採掘)には、大量の電気が必要で、その総量は、アメリカで消費される量に10分の1にもなると言われています。」
「それで、国連地球温暖化防止委員会も世界中のビットコインの実態調査を行うため、タンバ国のビットコインを調べていたわけですね。」
「そうなんです。ビットコインがあまりにも、ブームになってしまっため、国連温暖化防止委員会の計画が破綻しかけているので、なんらかの対策が必要なんです。」
「そうか、バージル、なにか対策はないか?」
「そう言われましても、すぐに対策は思いつきませんが、なにか、考えてみます。」
その夜、国連温暖化防止委員会が、国連事務総長の名前で、緊急アピールを出した。
「全世界の皆様へ
国連事務総長
ビットコインの急増によって、世界中のコンピュータ資源が食い尽くされようとしています。そのために、大量の電力は消費されており、その消費された電力は、熱として排出されています。国連地球温暖化防止委員会は、コンピュータのCPUの排熱が地球温暖化の大きな原因の一つとして、CPU利用削減に取り組み始めたところでしたが、ビットコインの急増によって、その削減計画は破綻してきました。しかも、コンピュータ排熱は、急増しており、電力の消費も拡大しています。
世界中で、ビットコインの利用を緊急に停止しないと、地球の温暖化かは、加速度的に上昇します。
国連は、強い決意をもって、ビットコインの利用の停止を要請します。今後のビットコインの利用する場合は、限られたもののみとして、ビットコインのマイニング(採掘)を許可されたコンピュータのみに限定したいと思います。ビットコインについて、国連の監視下で、利用できるように世界中の国々の賛同をお願いします。
以上
ビットコインの電力問題は、現実に以下のような記事が紹介されているので、興味ある方はご参照ください。現実世界でも大問題のようです。著者としては、タンバ国が電力不足にならないことを祈るばかりです。
https://hardware.srad.jp/story/17/11/22/1053213/
ビットコインの採掘に必要な電力が問題に、「環境に優しい仮想通貨」も生まれる
ビットコインのマイニング(採掘)には多くの電力が必要で、現在年間に消費されるトータルの電力消費量はナイジェリア全体の年間消費量に匹敵するという(MIT Technology Review)