ナロハ大臣の家の夕食会
大臣の奥さんは、腕によりをかけて、自慢の料理をつくっていた。
タロウ君は、その様子を遠くから眺めていた。どんな料理で、どんな材料で、どんな味がするのかを分析を初めていた。
夜になって、大臣の車が玄関前に到着する音がすると、奥さんが、玄関のドアをあけて、「おかえりなさい」といった。
今日は、メイド達は、自分の部屋にいるように言われているので、出てこない。
奥さん「ねえ、あなた、今日、注文してたロボットが届きました。」
大臣「どんなロボットだい。」
奥さん「知りたい?実はマリー君にそっくりだったりして。」
大臣「まさか、同じ外見にしたんじゃないだろうね?」
奥さん「マリー君と同じ外見にしたら、私、毎日、マリー君をいじめてしまいますね。」
大臣「では、どんな感じだね。」
奥さん「タロウ君、こっちにきて、挨拶しなさい。」
タロウ「はい、お母様、初めまして、お父様、僕、タロウです。この家の息子になりました。」
大臣「お父様!? お父様!? こいつが、ワシのことをお父様と呼んだぞ!?」
奥さん「このタロウは、私たち、二人の子供として、私が育てますので、そのつもりで。」
大臣「子供!? 私たちの子供!? よくみえると、凛々しいいい顔をしている。誰かに似ているような気がするぞ。」
奥さん「あなたの17歳のときの写真を会社の人に見せて、つくってもらいました。」
大臣「そうか、ワシも若いときは、紅顔の美少年とよく言われたものだ。」
奥さん「タロウ君、本当にそう言われていたか、しらべて、頂戴。」
タロウ「はい、お母様。そのような記録は、残されていないようです。泣き虫のくせに、ワンパクで、空手を初めてから、かなり、女子に持てたようです。」
大臣「まあな。持てたぞ。バレンタインには、チョコレートを山ほどもらったぞ。」
タロウ「あのー。お父様の少年の頃は、まだ、チョコレートをあげる習慣はなかったと思いますが。」
大臣「アハハ、ばれたか。そのかわり、たくさん、カカオ豆をたくさんもらったぞ。」
奥さん「あまり、タロウをからかうもんじゃありませんよ。答えに困っているじゃありませんか?」
大臣「そうだな。ところで、タロウ君、私たちを気に入ってくれたかな?」
タロウ「はい、とても、気に入っています。私は、良い家族に恵まれました。しかし、私は、政治家秘書ロボットなので、この家で何をしたら、いいのでしょうか。」
奥さん「あなたは、私たちの子供なの、子供として、振る舞って頂戴。」
大臣「タロウは、とても優秀なんだから、なにか、研究をしてもらってもいいな。どうせ、能力は有り余っているんだから。テーマを二つ、与えよう。この国の女性がもっと、活躍できるようにするには、どうしたらよいか。もう一つは、この国の子供達が、健康で、元気に育つにはどうしたら、よいか?」
タロウ「お父様、ありがとうございます。いろいろ考えてみます。」
大臣「実は、このことは、妻もいろいろ気になっているところだから、相談相手になってほしい。良き子供としてな。」
タロウ「はい、お父様、そうします。」
奥さん「あなた、なかなか、いいことを思いつきますね?冗談付きで、戦争好きの大臣だと、思っていましたが、あなたが、そんなに、この国の将来を考えているとは、知りませんでした。少しは、見直しました。」
大臣「妻に見直されてしまったぞ。今日は、良い日だ。子供も出来たし。すばらしい。この料理もうまいぞ。なあ、タロウ君。」
タロウ「はい、とても、おいしい料理です。」
大臣「そうだ、そうだ、よかったら、おかわりしてもよいぞ。」
奥さん「あなた、少し飲み過ぎたんじゃありませんか。食事は終わりにして、コーヒーでも飲みましょう。」
タロウ「なにか、ムード音楽をかけましょうか?」
大臣「気が利くじゃないか。それじゃー、オードリペップバーンの出ていた映画音楽をいくつか流してくれたまえ。」
タロウ「はい、お父様。」
奥さん「あまり、大きな音にしないでね。お父様はほとんど、眠っていますよ。」
大臣「おい、マリー君、ワシに子供ができたぞ。」
奥さん「また、へんな寝言を言い出しまたよ。静かに寝かせましょうね。」