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ナロハ国防大臣から政治家秘書ロボットの注文

タンバ国のナロハ国防大臣が、タンバ国のベンチャー企業が、政治家のための美人秘書ロボットを開発したというのを聞きつけて、どんな美人秘書ロボットが出来たのか、興味津津だった。


さっそく、ベンチャー企業に美人秘書ロボットをもってくるように、連絡した。


ナロハ国防大臣、執務室にて。


「まあ、座りたまえ。君たちが、面白い物を作ったと聞いたんだが」

「はい、私たちはタンバセクレタ社を設立し、政治家向け秘書ロボットを作成しました。」

「ほう、それが、このロボットというわけだね。」

「はい」

「名前はなんというのかね。」

「買った人が、名前をつけることが出来ますし、男女の性別、年齢、性格など、約500通りのパターンで、設定できます。」

「そうか。それは面白い」

「テストしてみますか?」

「まあ、後で、よい。ところで、このずんぐり、むっくりの体型はなんとかならんのかね。」

「もちろん、形は、どうにも、なるんですが、まだ、スマートなデザインができるスタッフがいないので、現在、ロボットの能力勝負です。」

「外形を変えることができるんだね。」

「はい、できますが、その分、値段が高くなります。」

「そうか、まあ、値段が高くなるのは、仕方が無いな。このハリウッドスターの体型にして、紺のスーツを着せて、有能な美人秘書らしくして仕上げてもらいたい。これは内緒だが、服の下は、グラマーに作るんだぞ。肌の質感にも注意してな。スーツは、、ビロードの布で作成すること。肌の色は、あまり黒くもなく、白すぎなくもなく、自然にすること。」

「あのー。ご希望に沿うように努力しますが、このロボットに、そのようなことを求めないほうが、よいかと思います。」

「わしは、別に、有能な秘書ロボットができたというので、それを買うだけだ。しかし、ビジネスで売るには、見た目が大事じゃ。犬や猫のロボットも売られているが、どうして、売れるのかというと、かわいいからに過ぎないのだ。ロボットは、可愛くないと売れんぞ」

「体型パターンをいくつかつくれと。」

「そうだ。可愛いがキーワードだ。」

「わかりました。それでは、いくつか、デザインを作成しますので、1週間後に、そのデザインを見て、選んでください。今日は、これで、失礼します。テスト用に、このロボットを置いておきます。名前は、そうですね、マリー、女性、25歳。育ちは、世界各国から選べますが、どうしましょうか?どこか好きな国はありますか?」

「ワシは、イギリスで軍隊の勉強をしたのだ。イギリスの女性は気だてがいいぞ。」

「では、イギリス、オックスフォード卒業、政治学部卒という設定はいかがですか?」

「政治学部か? 面白そうではないな。」

「では、文学部で、シェークスピアについて卒論を書いたという設定はいかがですか?」

「シェークスピアは、あまり好かんが、イギリス人は、シェークスピアが好きだからいいだろう。」

「では、設定しました。最初に、「いいかね、マリー君」と、声をかけてください。すると、ロボットが起動します。それでは、大臣の声のみに反応するように、「いいかね、マリー君、いいかね、マリー君、いいかね、マリー君」といってください。はい、どうぞ」

「いいかね、マリー君、いいかね、マリー君、いいかね、マリー君」

「はい、オッケーです、大臣以外の声には反応しません。大臣が、いいかね、マリー君といったときだけ、反応します。その後、自分で学習しますので、しばらく、ロボットをお話ください。」

「そうか、それで、いいのか」

「はい、大丈夫です。僕たちは帰りますので、いろいろ使ってみてください。」


--

「いいかね、マリー君。ワシはナロハ国防大臣である。」

「なにか、御用ですか?」

「お前は、ワシについて、なにか、知っているかね」

「ゴロゴロ検索をします。ウキーによりますと、1980年タンバ国生まれ。小学校の頃は弱虫であったが、中学校の時に、空手を習い始めてメキメキ上達し、イギリス国防学校に留学後、タンバ国の国防大臣に就任、現在にいたる。趣味は、紅茶と酒です」

「そうか、お前はそうやって、学習するんだな。」

「はい、ネットワーク上にある、すべての情報は、瞬時に検索できます。昨日、アメリカ大統領は、記者会見で、暴言を吐いたというのも、わかりますし、ロシアの大統領の飼っている犬が、子供を生んだことも、わかります。」

「そうか、世界の情報を瞬時にすることができるわけだ。賢いな、お前は」

「お褒めいただき、ありがとうございます」

「ところで、ワシの妻は、今、何をしているかな?」

「10分ほど前に、中央百貨店で、毛皮のコートを買い求められてられました。」

「どうして、それが、わかるんだね?」

「はい、奥様のお友達が、SNSで、奥様もいっしょに、買い物をしたという写真をアップされました。」

「そうか、そうやってわかるのか? CIAの秘密も解るかね?」

「公開されている情報なら、解りますよ。CIA 長官が、アメリカ大統領の不正を追及しようとして、逆に、罷免される可能性が高いそうです。たぶん、数日以内に罷免されると思いますが、まだ、テレビや新聞報道にはなっていません。」

「なぜ、それが、お前にはわかるのかね?」

「アメリカ大統領のツィッターとFBI 報道、CIA の報道を分析したロシアが、その可能性をニュースで盛んに発信しています。ロシア語なので、あまり、アメリカでは話題になっていません。」

「お前は、ロシア語がわかるのかね。」

「世界の言語は、ゴロゴロ社がすべて翻訳可能ですから。主要な100言語程度は、だいたい把握できます。」

「お前は、とんでもないやつだな。」

「私は、政治家選挙対策用ロボットですが、民生品のみで、作られたありふれたものです。ソフトも一般的なものです。私が、政治家選挙対策用に優れているのは、選挙に関するデータを事前に分析している経験が蓄えられているからです。もし、天文学、医学、物理学を事前に分析していれば、そちらの専門になれますよ。でも、タンバ国では、あまり、それらの分野は発展してないので、専門家の指導が必要ですね。」

「ところで、わしは、タンバ国の大統領になれるかね?」

「なれないこともないと思いますが、ならないほうがいいでしょう」

「なぜだね。」

「将棋やチェスをご存知ですね。駒には、それぞれの性格があります。飛車や角は、王より強力な能力がありますが、王にはならないでしょう。」

「わしは、大統領にならないほうがいいと」

「この国が苦難におちいることがあれば、あなたが、救国の戦士として、大統領になるのはいいと思いますが、今は、タンバ国は安定成長期にいますので、無理をしないほうがいいでしょう。」

「この国は、当分、苦難にならない?」

「それは、周辺国の不安定さや、世界経済の乱れに巻き込まれるかもしれません。そのときは、ナロハ大臣の強力な力が必要になるかもしれませんが、いまのところ、その出番はないかもしれません。先は長いので、焦らないほうがよいと思います。」

「そうか。」

「それに、奥様も、大臣が大統領になるのは望んでいません。」

「どうして、それが解るのかね。大統領になると、外交や政治の付き合いにひっぱりだされるので、それを面倒だとおもっています。形式的な儀式はきらいだといって思っています。赤いじゅうたんの上をロボットみたいにあるくのは、いやだとおもっています。」

「妻は、自由を愛する女だ。」

「でも、女性の権利問題には、興味があるようです。」

「そうか、お前は、なかなか役に立ちそうだな。休んでいいぞ。」

「では、機能を停止します。ウィーン、充電モードになります。」









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