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他人事な恋  作者: 紫苑
10/24

友人と自嘲


ようやく…!ようやくここまで…!


正直くじけそうでしたが、何とか

頑張って絞りだしました( ;´Д`)


こんな駄文を見て下さる皆様に感謝!




「さて。洗いざらい話して貰おうか。」


抵抗する間もなく、教室の隣、選択授業の時しか使わない空き教室に入れられ、ご丁寧に鍵までかけられた。朝っぱらからエネルギッシュな奴だな、おい。


昨日はあまり寝付けなかったこともあり眠りが浅く、普段より1時間早く目が覚めた。もう一度眠ることも出来なかったので仕方なくそのまま学校に来た。校門を通るところで肩を叩かれ、振り向けば爽やか人間こと高橋が居たというわけだ。


ちなみに高橋はサッカー部の朝練のために普段からこの時間に来ているらしい。最悪のタイミングだと思う。早起きは三文の得といった先人たちに、必ずしもそうではないと教えてやりたい。


「分〜かった!分かったから!話すから手離してって。」


握っているだけとはいえ、振りほどくことも出来ず鬱陶しい。そう訴えればようやく離してくれた。ため息を吐き。最近、わざとではないため息をつくことが増えていることに気付き舌打ちをしたくなる。ちらりと高橋の方を見れば真剣な表情でこちらを見ている。


そんな顔すんなよ。…だからお前は嫌いなんだ。


観念して話し始める。適当な作り話で誤魔化すことも出来たが、昨日からの疲れで面倒になり、大体の事実を話してしまった。付き合うことになった経緯と昨日のデート。…そして川村との話を少しだけ。


ちなみに俺が優希のことを好きではなく、嫌がらせのつもりで告白したことは話していない。流石にそれくらいの分別はある。…こいつがそれを聞いたとき、どんな目で俺を見るか試してみたい気もするけど。


話し終えても高橋は何も喋らない。沈黙。時計の針の音が聞こえそうな程だった。


「おい?何か言えよ。シカト?」


「ぁ、悪い。いや、うん。なんていうか、安心した。」


…は?唐突に何を言い出すんだ?俺は思わず呆れたような顔を向ける。


「いや、川村とのこともあったし、さ。色々心配だったんだけど…良かったよ。お前がちゃんと小林さんのをこと好きだって分かって、安心した。」


上手くいってるみたいで良かった。そう締めくくり笑った、目の前のクラスメイトの顔をまじまじと見る。俺が?小林を、好き?


「いや…そりゃ嫌いなら付き合わないけど、まだ何となく気になるくらいで…。告白したのだって半分ジョークっていうか…何でそう思ったわけ?」


「え?だって…ゲーセンで様子がおかしかったの見て、心配になって眠れなかったんだろ?そのせいでいつもは遅刻ギリギリのお前がこんな時間に来てるし。よっぽど好きなんだな〜って。」


本当に心配だったんだろう。自分の事でもないのに。それが嫌でも分かるほど、ホッとしましたと全身で表現している。…あぁ、もう。だからこいつは嫌なんだ。


「…恥ずかしい奴。」


「ははは!ごめんごめん。からかったわけじゃないんだって!」


ポツリと呟けばそんな言葉が返って来る。俺が、じゃなくてお前が恥ずかしい奴って意味だったんだけどな。


そうこうしているうちに予鈴がなったので教室に向かう。担任はまだ来ていない。席に着いてから、高橋が言ったことを考えてみる。俺が小林を好き?は、何だそれ。馬鹿にしたような感想が浮かぶ。


ポケットの中のケータイをカバンにしまおうとした時、メールが来ているのが分かった。確認すると、日付けは昨日のもので、差出人は小林優希。



デート楽しかったです。

また今度、映画見に行きたいです。


ゲーム、私ばっかり勝って

すみませんでした(>_<)


今日はありがとうございました。



シンプルなメール。ていうか顔文字とか使うんだ。新発見。そういえば、メールはこれが初めてかもしれない。俺はメールが好きじゃないし、放課後に待ち合わせて予定を決めていたので、特に必要でもなかった。担任が入ってきたので机の中に隠しながら返信。



昨日メール気付かなくてごめんね!

俺も楽しかった。映画、今週末で公開が終わるやつでオススメがあるから、土日に時間あったら教えて。


それと敬語やめない?

付き合ってるんだから。



送信ボタンを押し、ケータイをしまってから、まるで付き合ってるみたいだなと考えた。すぐ後に、そういえば一応お付き合いしてるんだった、と苦笑する。


高橋の方をちらりと見る。高橋の言葉。…俺が小林を好きとか。あり得ないだろ。…でも。


自分が普段と違う行動を取ってしまうことや、知らなかった小林の一面を知ること。面倒だと思っているのに、それも案外楽しいと思っている自分。


今思えば、チンピラに絡まれている優希を見てどうしようかと考えていた時点でどうかしていた。あんな面倒なシチュエーション。普段なら、他人事だからとスルーしてしまうのに。


そこまで考えて、自嘲する。高橋、お前やっぱすげえよ。俺と違って他人のために一生懸命になれる、友人の顔を思い浮かべる。俺、優希のこと…結構好きなのかもな?



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