私の世界が終った日
「あんたが、っあんたがぁあぁあぁあぁ!!!!!!」
一瞬なにが起こったのか理解ができなかった。
イキナリ家に何者かがいきなり怒鳴りこんできたんだから。
微かに銀色に鈍く光るモノが見えた、それが自分にむかって振り下ろされるのも
グチャ、グチャという音とドス、ドスという音が聞こえてくる。
多分、鋭いもので何度も何度も刺されているのだ。
体は動かないのに、思考は止まる事無く動き続けている。
精神が図太いんだろう、私は。
イキナリ家に押しかけて来といて
理由も言わないなんて、あんまりではと思ったので
精一杯になりながら、声を出した。
「…っさ、き…から、……あ、ん、た、……がぁ、…っし、か…いっ、……て、な…い、よ…っ………わ、たし…をさ、し…た…りゆ、う……な、に」
私自身は痛いともなんとも感じていなかったせいか
正直ここまでダメージをうけているとは思っていなかった。
ああ、どうしようか…と妙に冷静な思考をしている私は白状なのだろうか…?
あ、でも自分の事だしいいのかな、…また変な思考していると
急に女がヒステリックに話しだした、多分先程の言葉を理解したのだろう。
「…なんで、ですって!!?あんたが、悪いのよ!?彼を、あたしの居場所を取るからいけないんだぁあぁあぁっ!!!」
…?はて、彼?居場所とは?全く心当たりがないよ
いやはや私はこの女の地雷を踏んでしまったようだ。
記憶を呼び起こそうと、なんとか情報を集めようとしてはいるが
血を流しすぎたせいか目が霞んでいて殆ど何も見えていない。
微かな情報だけで思い出そうとするが、本当に心当たりがない。
ただの、彼女の逆恨みか…?それとも…?と考えていると良く分からない理由を話し始めた
今の状態でヒステリックになっている人の声を聞くと頭に響く…。
「彼を取ったのがわるいのよ?ふふふふふふふふふふふふっ!
安心して?あんたを、今すぐ*してあげるからね?ふふふふっ!」
……私には訳が分からない、理解不能だ。
だが彼女の中で私を消す事は決定事項らしい。
まったく、面倒臭いなぁ…、一体何処をどう安心すればいい?
ああ、つまんないや…こんな結末になろうとは次はもっと………
そんな事を考えた直後私の思考が途切れた。
○月△日深夜零時ごろ熊谷 七枝(21)が×××さん(20)をナイフで殺しました。
うわごとの様に「彼をとったコイツがわるいのよ…ふふふ」と笑っていたようで
精神鑑定にだされ、事情聴取されるようです。
◇新聞より粋抜