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時の旅人  作者: ユウ
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第四話

僕は時の旅人。

ある旅の最中、僕は一人の少女と出会う。

少女の名前は相原里美。

里美のおにぎりは・・・地獄だった・・・。



「と、いう夢を見たんだ」

「そうなんですかぁ・・・美味しいのに・・・」


相原は昨日、俺が失神した明太子おにぎりを造作もなく食べていた。

相原いわく「辛いもの好き」らしいが、これは「好き」という範疇を越えているだろうに。


今日も相原里美に会った。

実際には向こうから会いに来てるだけなんだけどね。

僕は時空間に戻るまでの間は結局このベンチで寝泊まりしなくちゃならないわけで。

お金なんてないからいわゆるホテルなんてものに泊まれるわけもない。


「今度から明太子おにぎりのには目印つけておいてくれないか?」

「やっぱり駄目なんですか?」

「うん、無理!!」

「そうですかぁ・・・残念です」

「鮭とか昆布とかはガツガツ頂くからさ!」


少し悲しそうな彼女の顔を見るのには少し心を痛めるが仕方がない。

できない約束はしない方が良い。

それにがんばっても食えない・・・。

失神してしまってまた迷惑かけるよりは全然良いだろう。


「そういえばですね・・・」

「あん・・・?」

「口の中に食べ物を入れて喋ったらいけませんよ!」


相原に水筒を渡された。

中身は普通に麦茶だった。

それを一気に飲み干した。


「う~・・・で、なんだ?」

「オヤジみたいです・・・」

「はぁ!?」

「その『う~・・・』っていうのです」

「うっ・・・、そうかオヤジみたいか・・・」


ちょっとショックだ。

まだオヤジみたいって言われるような歳ではないのに・・・。


「それでですね」

「あぁ?」

「時時さんって、一体なんの仕事をされてるんですか?」

「仕事か、それは、とき・・・」


時の旅人。

と、言おうとしたが信じてはもらえないだろう。

あ、ちなみに自分が時の旅人であるという事を開かしては駄目という決まりはない。


「NEET」

「・・・・・・・・・はい・・・?」

「だからNEETだ」


決まった。

このかっこいい発音を是非とも画面の前にいる皆様に聴かせてやりたいぐらいだ。

「ニートゥッ」というような発音をする。

ちっちゃい「ッ」がポイントか。



「ご・・・」

「ご?」

「ごめんなさいっ!」

「いやなんだよ、いきなり」

「私ったら、聞いちゃいけない事だってあるのに・・・本当にごめんなさいごめんなさいごめんなさい失礼しますっ!」


相原は去っていった。


「って・・・え~・・・」


何かまずい事を言ったのだろうか。

旅人仲間からは人間界ってのはNEETって言葉に対して反応があるとは聞いていたが・・・。

いかんいかん、少々情報が不足していたらしい。


「あ~、ちょっとそこの姉ちゃん」


目の前を歩いていたスラっとした体型の運動が得意そうな姉ちゃんが気になったから話しかけてみた。


「?」

「NEETってなんだ?」

「プータロー」

「なんだプータローかぁ~」


姉ちゃんはスタスタと歩いていった。


「っておい、プータローかよっ!」


プーちゃんなら知っているぞ。

前に人間界に来た時に意味を教えてもらった事がある。

そうか、だから相原はいそいそと逃げていったのか。

嫌な誤解をされてしまったな。

俺は断じてNEETやプーではない。

時の旅人という歴とした職業に就いているのだ。


・・・。

明日にでも会ったら誤解を解こう。

しかしどう説明するか。

いっその事、時の旅人である事を話すか。

相原がそれを信じてくれるだろうか。

もし信じてくれなかったらNEETやプーと同じか。


とりあえず明日だ。

明日になって適当に思いついた事を話してみよう。


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