第十八話
「里香ちゃん」
「あ、時時さん?」
「・・・里香ちゃんも、お母さんと同じように時の旅人になりたいのかい?」
「なりたいです、それがママの夢だからっ!」
里美の・・・、そういえば里美もなりたがっていたっけ。
だからせめてもの形で僕は里美と旅に出た。
その思い出の軌跡がこの子だっていうのか。
「里香ちゃんは、ママに会いたいのかい?」
「うーん、会って・・・みたいです」
「パパには?」
「パパは・・・ずっと前からいないって言われてきてたから・・・」
「そうかっ、じゃあママに会いに行こうか!」
「はいっ!」
「時の旅人になる、気持ちはあるね?」
「この世界とお別れするのは寂しいけど・・・でもママの夢だから、ママの夢は私の夢だからっ!」
「よし・・・」
僕は里香に自分の時力を注ぎ込む。
人間が誰しも持っている霊力が全て時力に書き換えられる。
「これで里香ちゃんも、時空間の人間だ」
「これで・・・なんかもっと痛かったりするのかなーって思っちゃいました!」
「まぁ別に特別な事はないさ、ようは時空間の人間の推薦があれば良いんだから」
「推薦?」
「里香ちゃんには難しすぎたかな?」
「うーん・・・がんばります」
時空間、時力といった基本知識は僕の時力を送る事によって記憶が書き換えられる。
しかし勉強とかって知識はさすがに無理だ。
「さて、行こうか・・・里香ちゃん」
「はいっ!」
僕は里香と共に時空間を目指す。
里美の意志は今もこの子に焼き付いている。
僕が君にできなかった事、君が僕にしたかった事、そして君がこの子に伝えたかった事を・・・君の意志と共に僕が伝えていく。
見ていてくれるよね。
里美は誰よりも優しくて強い人だったから。
時空間に辿りつく。
「うわぁ・・・ここが時空間ですかぁ?」
「そうだ、ここには・・・」
1、5人ほどが住んでいる
2、500人ほどが住んでいる
3、50000人ほどが住んでいる
「わかるかっ!!」
「時時さん、何を一人ボケしているんですか?」
「いや最近はシリアスなのが多かったからな、久々に戻ってみたんだ」
「へ~・・・」
子供相手に何をやっているんだ、僕は。
「里香ちゃん」
「ちゃん、はいらないです!」
「ん?」
「ママみたいに呼んでください」
「・・・里美」
「違いますっ!」
「冗談だ・・・里香」
「あっ・・・」
里香は何か思い立ったかのように僕の顔を見た。
「どうした?」
「今なんか・・・パパに呼ばれたような感じがしました・・・」
「・・・・・・」
僕は里香に自分が父親である事を明かさないつもりでいる。
償い、というわけでもないが何かの枷を僕自身に与えないと気が済まなかったのだ。
僕自身の傲慢なのかもしれないが里香をそっと見守れればそれで良い。
「気のせいだ」
「そうかなぁ・・・」
「良いから、早くママに会いに行こうな」
「うんっ!」
僕らは8年前の時間軸に飛んだ。
まだ君が生きている時代へ。
終