第十五話
「時時さん・・・!?」
「やめろよっ、お前ら!」
後ろでは里美が驚きの声をあげていた。
僕は手錠をされ自由の利かない手で警官に抵抗した。
「犯人は抵抗する、応援を呼んでくれ!!」
その声で数人の警官が部屋の中に入ってきた。
僕は3人ほどの警官に為す術もなく捕まった。
「相原里美さんを無事に救出しました」
「病気の容態がおもわしくないと聞いている、慎重に運べよ!」
「はいっ、ん、なんだって?」
「どうした?」
ここからじゃよくわからないが、里美が警官に何かを言っているようだった。
「えっ、お腹に赤ちゃん?」
「救急車を呼べっ、相原里美さんは妊娠しているぞ」
その言葉に耳を疑った。
「妊娠・・・だって?」
「時時さん・・・」
僕は里美を見た。
里美を見るとその事を肯定するような表情をする。
「とりあえず犯人は連れて行け!」
「はっ!!」
「おい、やめろ、里美っ、里美ぃぃ!」
僕たちは何もできずに引き裂かれた。
「待ってろ里美、すぐに向かえに行くからな!」
里美に聞こえただろうか。
大きな声で里美に聞こえるように声を出した。
横を見ると大家さんと仕事場の親方がいた。
僕はパトカーに乗せられそのまま警察署へと連行されたのだった・・・。
・・・・・・。
「で、君は一体なんで相原里美さんを誘拐なんてしたんだ?」
「・・・・・・」
「・・・はぁ、いつまでもそうしていたいのかい?」
「・・・・・・」
それだけ言うとその人は出ていった。
捜索願を出していたのは里美の父親らしい。
当然だ、娘がいなくなったんだそうなる事はわかっていたはずだ。
僕は一体・・・何がしたかったんだ。
あの時から、何がしたかったのか・・・今の僕にはそれがわからなかった。
・・・里美は妊娠していた。
僕の子が・・・?
僕は深入りしすぎたのだろうか。
僕と里美は同じ世界の人間ではない。
いつしかこうなる事がわかっていたから人と接点をもたないように動いてきたんじゃないのか。
僕は・・・僕は時の旅人だぞ。
・・・無理な話だったな。
僕は時の旅人で・・・でもそれ以上に彼女を。
相原里美を好きだった。
里美は僕と似ていた。
外の世界に思いをはせ、監獄の中から羽ばたきたかった。
・・・やめよう、今となってはどんなお題目を並べても意味のない話だ。
僕がただ一人、愛する女性。
相原里美。
君だけの無事を祈るのが僕にできる精一杯だ。
浅はかな僕を許してくれとはいわない。
「・・・・・・?」
ふと、変な感覚におそわれている自分にきがつく。
例えるのなら音のない世界。
時間が・・・止まっている。
その瞬間、世界にノイズが走り出した。
「これは・・・まさか・・・」
僕はこの時代から時空間へ強制転移させられた。
終




