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時の旅人  作者: ユウ
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第一話

僕は時の旅人。



ここはどこだろう。

一体、僕は何をしているんだ。

全く思い出せない・・・確か・・・確か僕は何かに呼ばれるようにある時間軸の中に入った。

・・・そこからが思い出せない。


「・・・・・・っ」


どういうわけだか体が重い。

別に動かせないわけでもないが、とても気だるい感じがする。

しかし何故だろうか、心なしか暖かさ・・・というか気持ちよさをほのかに感じる。


「・・・っう・・・」

「気がつきましたか?」


意識が段々とはっきりしてきた。

僕は時間軸の中に入ろうとしたら原因不明のトラブルに巻き込まれたんだ。

その衝撃で気を失っていた、そういう事か。


「うぅ・・・ご飯・・・」

「食べ物ですか・・・えっと、これしか無いんですけど・・・」


お腹がとっても空いていた。

今ならどんなものでも美味しくいただけると思う。

腹が減っている時はどんなものでも美味いというからね。

と、突然口元に何かを当てられる。

この際だからなんでも良いので食べてしまおう。

僕は口元に当たった何かを気にせずに口に入れた。


「・・・・・・もぐもぐ」

「あっ、やっぱり食べ物ですね!」


この味はお米だ。

良かった、ちゃんと食べられるもので。

そう思っていると再び口元に何かが当たる。

おにぎりだろうか。

食べやすいサイズのものだ。

その一口を口に入れた瞬間に、口の中に電撃が走ったような辛さの波が押し寄せた。


「かっっっらーーーぁぁぁぁ!!!」

「きゃあ!?」


まさに口から火が出るとはこの事だ。

舌が痺れるように痛い。

辛いを通り越して既に痛い・・・。

一体何を食べさせられたのだろうか。

あまりの辛さによる激痛により再び意識がまどろみの中へと落ちていった。



再び、目を覚ました時には口の中の痛さも少しはとれていた。

一体あれはなんだったのだろう。

辺りを見回すと近くに大きな病院があった。

周りの景色的に公園だろうか。

僕は公園のベンチに寝ていた。


「うん、と・・・?」


さっきまで誰かがいたような気がしたのだけれど。

気のせいか、とも考えたけど何故か横顔に残る暖かさは生々しいぐらいに残っていた。

と、いう事はやはり誰かがいたのだろうか。

多分。


「あっ、目が覚めたんですか?」


と、声をかけられた。

振り向くとそこには、やや小柄な少女が立っていた。

パジャマのような格好をしているのを見ると・・・。


1、夢遊病少女だ!

2、こういう趣味があるのだ!

3、着替えるのがめんどくさかったのだ!


ここは選択肢・・・ってまともな選択肢ないしっ!

恐らくは病院の患者なのだろう。

そういえば心なしか体調も悪そうな感じがする。


「君は?」

「私はあそこにある病院の患者さんです」

「いやそりゃ見ればわかるさ」

「はい」

「・・・なんか話のリズムが合ってない気がするけど」


僕の感覚がズレているのかがわからないけど、少女との会話はどことなく変な感じだった。


「君が僕の事を看病してくれたのか?」

「はい、倒れていたのを見つけましたから放っておけなくて・・・お邪魔でしたか?」

「いや助かったよ・・・でもなんでか口の中が辛いような痛さがあるんだ」

「はぁ・・・?」

「何か知っている事はないかい?」

「いえ・・・特には・・・」


では一体何だったのだろうか。

間違って毛虫でも食べてしまったのかな。

まるで針を刺されたようなチクチクする痛さだったからあり得るかもしれない。

想像したら吐き気を催してくる。


「あ、あの・・・」

「どうしたの?」

「私そろそろ行きますね」

「あ、あぁそうか」

「では!」


少女はトテトテと可愛らしい走り方で病院の方へと走っていく。

いや走っているにしては遅い感じなのだが。

ふと、少女が足を止めてこちらを振り向いた。


「あのっ・・・明日も会えますか?」


明日も会えるか、か。

どちらにしても別に急いで何かをしたいわけでもない。

旅人は自由気ままが本筋だ。


「良いよ、明日もここにいるよ!」


少女は嬉しそうな顔をした後に、小さく手を振った。

そのまま再びトテトテと走り出した。

行動が小動物っぽくて可愛い感じだなと思った。


今は大したアテもない。

とりあえず明日を楽しみにしておこう。


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