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いぶこー事務所(5)


「あとはゲームを始めてみる、とか」

「ゲーム!」

「ええ、わたくしたちも他箱のライバーさんがやっているゲームを勉強中なのですが、FPSやほのぼの系、ホラーゲームが人気のようです。特にFPSはプレイする方には参考として観戦されたち、ホラーゲームは自分では怖くてプレイできないけれど、という方に非常に人気が高いです」

「『二期生の人たちホラー耐性高すぎるからシエルとよるのホラゲ見に来た』とか言われるんですよ!」

「せやせや! こいつらおかしいねん!」

 

 突然入ってくる一期生二人。

 ホラーゲームというと、確か意図的に怖がらせてくるゲーム、だったかな?

 FPSは銃を使った対人戦闘ゲーム。

 ほのぼの系は無人島を開発したり、牧場を運営したりのんびり仮想世界で過ごすゲームだったはず。

 個人的にゲーム実況をするのなら、ほのぼのしたゲームがしたいと思っていたけれど……先輩たちはどのジャンルのゲームもやっている。

 さすがに中身まではまだ見ていないけれど、鬼津(おにづ)先輩は色々なゲームやアニメの同時視聴が中心。

 シエル先輩はホラーゲームやほのぼのゲーム中心。

 フィルネルク先輩はFPSなどの対人ゲームやホラーゲームが中心。

 オリヴィア先輩はホラーゲームオンリー。

 たまに雑談やカラオケ。

 ロレーヌ先輩はカラオケが中心。

 歌うのが楽しいらしく、たまにホラーゲームやアニメの同時視聴をやっている。

 共通するのは雑談配信でリスナーおすすめのアニメや漫画やゲームを常に募集して、地球の文化に触れたり勉強をしているという点。

 やはり我々は異世界の住人だから、地球のことは地球の人に聞くのが一番手っ取り早いのだ。

 それはそれとして二期生たちは全員ホラーゲームが得意。

 一期生たちは二人ともホラーゲームが大の苦手。

 でもその怖がる姿を見にくるリスナーが多いらしく、普段の配信の二倍から三倍の視聴率を誇るそうだ。

 なにそれ、怖い。


「銃のないホラーゲームはちゃんと怖いと思っているけれど?」

「だって戦場の死と隣り合わせの恐怖に比べれば、ゾンビだのびっくりさせてくる怪物だのはたいしたことはございませんし」

「びっくりするの大好きですぅ〜」


 なるほど。

 二期生の先輩たちは……なんかこう……怖いものがないのだな。


「アネモネくんは騎士だったのだろう? FPSとかやってみないかい? FPSができるのいぶこーでおれだけだから一緒にできる人が増えると嬉しいな」

「やったことがないので、あの、教えていただくことはできますか?」

「あ! それならデビューしたあとにコラボしないかい? フィルネルクが新人さんにFPSを教える配信」

「まあ、それは素敵な提案ですわ! いいと思います!」


 なぜか手を叩いて嬉しそうにするオリヴィア先輩。

 オリヴィア先輩もFPSをされるのだろうか?


「その時はご一緒したいです」

「それはもちろんです」

「オリヴィアには前も教えたでしょ」

「バズーカは実装されておりませんの?」

「ありません」

「あらぁ……あれが一番かっこいいと思いましたのに」

「どのゲームで知ったんだ、バズーカ。基本的にFPSでバズーカはないぞ?」

「オンライングランドオーバードというゲームで学びましたの。警察と犯罪者、民間人に分かれて好き放題に生きるゲームですのよ。すごいんです! 手榴弾とかバズーカとかアサルトライフルとか撃ち放題ですの!」

「ま、また人を選ぶようなゲームを……」


 オリヴィア先輩って、聖女、だよな?

 思わずちらりとロレーヌ先輩を見るとニコニコ頷いている。

 どういう意味の頷きなのだろう?


「アネモネさんもやりましょう! グラオバ! 地球の文化について学べるよいゲームですわ」

「だいぶ偏見が強まりそうなゲームだからプレイする時は気をつけるんだよ」

「そうですわ。それに、ゲームをする時は事務所に質問をしておいた方がいいですわよ。ゲームの中には配信NGだったり、スパチャNGだったり、エンディングを配信で流すのNGだったり、ルールがありますから」

「え、そうなのですか?」

「はい。最近のVRMMMO系は少ないですけれど、VRではないゲームで少し古いものやR指定年齢の高いものは注意が必要ですわね。特にホラーゲームの中でもG……グロテスク表現のあるものは事務所に確認した方が安全ですわ」


 そうなのか。

 勉強になるな。

 ……ホラーゲーム、やるとは言ってないけれど。


「あと、歌も気をつけた方がいいですよぉ。わたくしたちが配信をするのは主に地球の“日本”という国なのですけれど、その国以外の楽曲は権利がガチガチで使用料が日本の数十倍なんですぅ。桁が四つ五つ違うので、カラオケや歌ってみたを出す時はよぅく確認した方がいいですねぇ。事務所に聞くのが一番早くて安全ですよぉ。日本のカラオケで歌えるものはだいたいカラオケの会社が使用料を払っているので安心ですけれど〜」

「歌も気をつけた方がいいんですね」

「カラオケ配信がしたくなったら誘ってくださいねぇ? わたくしが色々お教えしますからぁ」

「はい。ありがとうございます、ロレーヌ先輩」


 まだまだ知らないことがたくさんあるな。

 とりあえずなにかをする時は、逐一事務所に聞いてみる、というのが一番安心安全な方法ということだろうか。

 しかし、それならますます初配信でなにをしたらいいのかわからないな。

 うーん。



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