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家族でデビューに向けて(1)


『それではそろそろVtuberの仕事について、本格的に始める準備をしていただきます』

「ああ」

「はい」

 

 シルバーたちがVtuberのデビューについて必要な説明会が始まる。

 まず個人で活動するか、事務所に所属するかを選ばせてもらえるらしい。

 一週間でそれなりにVtuberについても勉強はした。

 なので、Vtuberがどういうもので、どんなことをしたりするのかも把握している。

 事務所というのがどんなものなのかも理解しているし、個人勢の配信もたくさん見た。

 そのくらい、スマホは楽しく学ぶことができたのだ。


「それで、事務所についてなのだが……我々が望めば面接を受けさせてくれるということなのか?」


 VtuberはVtuber事務所または個人勢と大きく二つの活動の場がある。

 個人勢はその名の通り個人で活動を行うVtuber。

 事務所を通さないため固定リスナーがつきにくい上活動費がすべてのしかかるため、非常に短命。

 人気になれば事務所を経由しない分利益がすべて懐に入るが、当然それは一握りどころか数いるVtuberの中でも親指の第一関節くらいの奇跡に等しい数。

 一部では大手Vtuber事務所から個人に独立して、固定リスナーがついてきてくれれば個人でも生活に苦労はしないらしい。

 そしてVtuber事務所。

 Vtuber個人と契約して、マネジメント業務を請け負う場所のこと。

 個人事業主のVtuberと契約して、さまざまな仕事を定期したり、事務所主催のイベントに招いてくれたりするので個人で活動するよりも遥かに固定リスナーがつきやすい。

 Vtuber事務所は“箱”と呼ばれ、“箱推しリスナー”という存在もいるぐらいVtuber事務所に所属するメリットは多い。

 私たちも今日のためにVtuberについて色々調べるにあたり、最初は事務所に所属していた方が後ろ盾があって不安が少ないという話になっていた。


『いいえ、センタータウンに居住してくださっているVtuberには、基本的に面接は免除とさせていただいております』

『理由としまして、センタータウンに居住してきている方々は、地球とは別の異世界からきておられる方ばかりです。そのような方々はすでに“経験”が地球の方々とは異なります。その“経験”が、地球でVtuberの配信を見るリスナーには新鮮なのです』

『ご家族全員でVtuber活動をするのであれば、ご紹介する三つのVtuber事務所の中で一番小さいですが、一番人数を欲している“いぶこー”がよろしいかと』

「いぶこー?」


 Vtuber事務所の大手は調べたが、『いぶこー』なる事務所は記憶にない。

 スマホで検索してみると『いぶこー』とは『異世界文化交流校』というVtuber事務所。

 通常『いぶこー』。

 異世界の住人を中心に数人が一つのグループ、同期としてデビューしている。

 現在の在籍人数は五人。

 一期生は鬼門を護る鬼の血を引く少女、鬼津(おにづ)よる。

 同じく一期生で、婚約破棄され、国から追放された悪役令嬢、シエル・ラブラドライト。

 二期生は婚約破棄をされた挙句、聖女の座を偽物に奪われて戦場に送られた挙句、暗殺されかけて異世界に逃げ込んだ元聖女オリヴィア・リューネル。

 オリヴィアの同期は聖女を名乗る悪女に陥れられ、治療薬と偽り毒を飲まされて死にかけ、気づいたらVtuberになっていたとある異世界の王国の第一王子、フィルネルク・オーリーズ。

 同じく二期生、異母妹に陥れられて婚約破棄されたばかりか、悪女の汚名を着せられて女性を嗜虐する豚オヤジに嫁がされそうになって逃げ出してきていつの間にかVtuberになっていた傾国の美女、ロレーヌ・オルフィア。


『いかがでしょうか? 一家四人でデビュー』

『詳しいことは事務所の担当者と話し合っていく形になるとは思いますが』

「いいと思うぞ。マネジメントというのは事務所の者がやるのか?」

『はい。我々はあくまでも皆様の生活のサポートを担当いたしますので』

『ご家族四人でのデビューということに合意がいただけたのでしたら、そのようにご希望と事務所側にお伝えします』

「そうだな。頼む」


 四人でデビューできるのなら、それが一番いい。

 しかし、一つだけ。

 オズワルドは、ライバーになるよりも普通に学校に通って勉強を優先させた方がいいのではないか、という点。

 この町はまだライバーが少なくて、オズワルドぐらいの子どもは町が稼働し始めて、初めて来たらしい。

 学校自体はあるものの、学校に通う年齢の子はオズワルドしかいないのがこの町の現状。

 それでは友人が作れない。

 そのあたりのことは私が勝手に気にしていることだから、オズワルドの意思を無視して相談するようなことではないのだけれど……。


『では、事務所の希望も承りましたのでセンタータワーに移動していただきます。ただいまよりVtuber研修を開始します』

「研修?」

『はい。Vtuber事務所に所属となりますと、マネジメント契約などをしていただくことになります。また、地球の法律で未成年が働く場合は保護者の同意も必要となりますのでそちらの説明も兼ねてセンタータウンの会議室に向かっていただきたいのです』

「わかりましたわ」

「では、出かける準備をしよう」



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