第8話目 ソレイユ王女の本性8
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「ソレイユ王女様、宜しかったのですか?」
ゴリョウが立ち去っていった後、その姿が見えなくなってから
横に控えていたナタル・フォン・エペが尋ねてきた。
その質問に対して、私は紅茶を啜った後尋ね返す。
「……何がだ?」
「ソレイユ王女様のことをお話して……」
ああ、今の私の本性を晒したことを気にしているのか……
「別に構わないだろう」
「ですが、ゴリョウ・アマクサからソレイユ王女様のことが漏れるかもしれません?」
そんなナタルの言葉を鼻で笑い、
「あいつがか? 誰とも仲良くないのにか? 誰に話すと言うのだ?
まず貴族どもの子息子女は自分が偉いと思っている。
それは当たり前だ、今までもずっと優遇されてきたのだぞ?
そのため自分達が優遇されるべき存在だと思っているのにも関わらず、
突然現れた勇者達が学園内はもちろんのこと、
王都でも優遇されているのが『気に入らない』とすでに公言しているのだぞ?」
少しは隠すということを覚えればいいものを……
まあ、今まで蝶よ花よと育てられていきたのだから、無理に決まっているか……
ナタルに更に言葉を続けて、
「そんな状況で貴族達に近づくことなんて出来るわけがないだろう?
いや、ある意味近づく連中もいるだろうが、それは相手を見下すために近づくだけだ。
その関係で私の情報を漏らす?
無理に決まっているだろう、漏らすなどとできるわけがない」
首を左右に振って、更に言葉を続けていく。
「ならば商人の子供連中や平民どもに漏らすか?
貴族連中が嫌っている連中に、あえて話しかけるバカなどいないな。
もしも話して、その姿を貴族の子息子女に見られでもしたら、
自分の身に火の粉が降りかかることになるのだぞ?
そんな状況など望みもしないだろう。
あいつらは、我々の顔色を窺ってヘコヘコしている生き物だ」
自分で言っておいて、アイツらの顔や態度を思いだし、鼻で笑ってしまう。
子供だというのに、しっかりと自分達の身分を刷り込まれている姿は、本当に滑稽だな。
「あとは……同じ立場である転移してきた勇者達だが、あいつ以外は我々に従順だ。
自分達が気持ちよく優遇されている中で、
その輪を乱すような態度をするゴリョウ・アマクサを受け入れるなどするわけがない。
現に誰一人クラスで話そうとはしていないだろう?
そんな状況も加味して、私が選んだのだからな」
「それはそうですが……」
それでも心配そうな顔をするナタル。
そんなナタルに口角を上げた笑いが自然と漏れ、
「心配性だな……だいたい漏らしたのなら漏らしたで……消せばいいだけだ」
そんな私の発言に目を見開いて驚いて慌ててナタルは、
「で、ですが!? 相手はまがりなりにも勇者ですよ??
そんなことをして不興を買うことになるのは……」
「ハン! 勇者とはいえ、選ばれた勇者ではなく、ハズレの勇者だからな。
ハズレの勇者なんぞ、一人二人消えたとして、誰も気にすることはない。
むしろ面倒くさい勇者が一人減ったことで、担当の者からは感謝こそされるぞ」
「それはそうかもしれませんが……」
そう、私を裏切るのなら切り捨てればいいだけだ。
……だが、
「確かにナタルの言うことも一理はあるな……。
ならば、あいつを見張りに付けておくか。
そうすれば何かあったとしてもすぐに私の耳に入ってくるだろう」
「……あいつとは?」
ナタルはどうやらピンときていないようだが、
「教会の孤児だ。
私の名声を上げるために役に立つだろうと
潰れかけの教会の寄付金を出してやっていたのだが、
そこの孤児の一人が学園に入学している。
入学式の時に挨拶に来ていたが……こんなところで二度目の役に立つとはな。
あの孤児なら私と話しているところは入学式の一度だけだし、
その時は私の部屋で会っただけだから他の者には見られていない。
だから、私との関係を疑うことなどないだろう。
だいたい教会の人間だから、ハズレ勇者を憐れんで話しかけていると思わせればいいしな」
「? お話になられたことがあるのですか? それは私も存じあげませんでした……」
そんなセリフで鼻で笑い、
「ハン! ぬかせ! 王女であるこの私と話が出来るわけがなかろう!
孤児が私に挨拶しただけだ。それを聞いただけだ。
それで満足してアイツは帰っていったよ。
だいたい、あんな最底辺にいる者と私が話す?
そんなたわけたことがあっていいわけがない!
私が、あんな平民の孤児に話かけることなどあるわけがないのだ!
……とりあえずあいつに伝えておけ、ゴリョウ・アマクサと共に行動しろとな」
「ですが、ハズレとはいえ勇者の一人です……
先ほどソレイユ王女様が言われたような状況にある人物なのですから、嫌がるのでは?」
ハン!っと鼻を鳴らしてから、
「その時は言ってやれ。
貴様の教会への寄付は打ち切るとな。
打ち切られた教会の末路は、奴らが一番知っているだろう。
それも聖光教団ではない、別の宗教の教会など誰が助けるというのだ、私以外で。
……いいか、間違っても私の名前を出すなよ?
せっかく手にいれた名声に傷がつくなんてあってはならないのだからな!」
私の言葉にナタルは静かに頷いてから、
「かしこまりました、すぐに使いの者を送ります」
ナタルの満足のいく返事を聞いて、私は立ち上がりながら、
「さぁ~て、ハズレ勇者が私にとってもハズレなのか、それとも当たりなのか……
しっかりと働いてくれよな、ゴリョウ・アマクサ」
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