第5話目 ソレイユ王女の本性5
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二つ名で“雷帝”と呼ばれている奴がいるが……
なかなか、人間性に難がある人物だと聞いている。
ギルドに併設している酒場で飲んで暴れて騒ぐのは日常茶飯事で、
喧嘩はもちろん略奪、暴行等の犯罪行為にも手を染めていると噂されている人物だ。
ただ、当の本人は何か噂が上がる度に、パーティーの仲間であったり、
取り巻きたちの誰かが捕まるだけで本人は一度も捕まったことはなく、
潔白だと言っているとか……
まあ、普通に考えて捕まっていたら王国最強の冒険者なんて言われても
表立って活動なんてできるわけがない。
それに実際に雷帝の取り巻きが問題を起こしていて捕まっているだけなのだから
雷帝自体が罪を犯したわけではないのに、責任なんてとる必要がないだろうな。
そんなことを思っていた俺にソレイユは、フッと笑った後で断言してくる。
「ちなみにあいつは真っ黒だ」
「……うん?」
俺の考えを読んでか、断言するソレイユ。
断言して、さらに言葉を続けていく。
「聞こえなかったか? 何をそんなに呆けた顔をしているのだ?
噂になっている話は、すべて事実で当の本人が起こしていることだと言っているのだ。
今度はしっかりと聞こえただろう?」
「……やっぱり?」
なるほど……やっぱり本当か……
そんな俺の言葉に頷いてからため息をつきながらソレイユ王女は最新情報を教えてくれた。
「最近だと、どこぞの伯爵令嬢を拐って、
散々弄んで楽しんだ挙げ句に奴隷商人に売り払ったのは……奴がやったことだ」
「……あいつの仲間が勝手にやったことになっていたけど?」
ソレイユ王女が口にした事件は知っている。
冒険者ギルド内でも皆が可哀そうにとひそひそと話しているのを聞いているし、
何なら奴隷商人に売り払われた娘を買う羽目になった伯爵のことも聞いている。
ただ、ギルド職員は、その剣に付いては雷帝の取り巻きがやったことで
雷帝はやっていないと断言し、無実であることを証明すると御触書まで出している始末だ。
そんな俺からの回答に鼻で笑ってソレイユは吐き捨てるように、
「ハン! そんなわけないだろう!
アイツがやって、その罪を仲間に押しつけただけだ!
じゃないとおかしいだろう?
何であいつの周りに集まってくる連中が毎度毎度問題を起こすのだ?
問題が起きるのは当事者が捕まっていないから問題が起きるのだ」
「……証拠は?」
一応、証拠があるのか尋ねてみるとソレイユ王女はケロッとした表情で、隠すこともなく、
「あるぞ。王家としては、しっかりと証拠を掴んでいる。
その証拠を表に出せば、間違いなくあの男を処刑台に送ることができるだろうな。
この件だけではなく、他にもアイツがやった余罪は山のようにあるからな」
力強く断言してくるソレイユ。
ちょっと開いた口がふさがらない話なのだけど……
ただ、そんな状態ではあるが、それでも尋ねたいこともあり、
「ちなみにだけど……
そんな状況が分かっているにも関わらず、なんで部下だけが捕まっているの?
さっき言っていたけど、元凶が捕まらない限り何度でも同じ事件は起きるだろう?」
そんな俺の質問に鼻で笑ってソレイユ王女は澄ました顔をして、
「ハン! そんなことは決まっているだろう!
雷帝が有能だからの一択だ! それ以外にはないだろう?
ハッキリと言っておくが、ダンジョンから得られるアイテムや魔物を討伐することで
得る魔石やドロップアイテムは、この王国の貴重な収入源になっている。
そして我が王国で手に入れた貴重なアイテムを得たいがため他国は、
我々に気持ちがいいくらいに尻尾を振って媚を売ってくるのだ。
そのような状況だぞ? 最も王国に貢献している雷帝を捕まえる? 有り得ないな!
あいつがもたらすメリットがある限り、全ては黙認だ。
それがこの王国の判断だ! 分かったか?」
「……最低な国だな」
思わず漏れた俺の言葉を鼻で笑うソレイユ王女。
「ハン! 大人の対応というやつだ。
……まあ、覚えておけ。貴様にとってはいい情報が一つある。
貴様も有能さを証明すれば、多少の犯罪なら目をつぶってくれることになる。
もしも犯罪しそうになったのなら、それまでに多くの貢献をしておけよ、
そうすれば犯罪者にはならずに、貴様が知らないところで
どこからか勝手に真犯人が名乗り出てくるぞ。
もしくは犯人の死体がどこからか見つかるぞ」
「……そもそもそんな事にならないと思うけど」
そんな俺の返答に首を傾げながらソレイユ王女は、
「そうか? 貴様も男だろ?
気に入ったどこぞの貴族令嬢とまぐわりたいために、拐うことだってあるだろう?
そんな時に免罪符は持っておいた方がいいぞ。
そうすれば自分の欲望のままに行動することが許されるからな」
「いや、普通にないから……」
即座に否定をするのだけど、そんな俺の回答なんて気にした様子もなく
ソレイユは話を続けていくのである。
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