第39話目 ギルド職員ステニー11
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「ほら、せっかくのプリンが冷えて美味しいうちに食べないともったいないよ」
その言葉を聞いたエトワールが、あっと声を漏らしてから
慌ててまたプリンを一口食べて満面の笑みを浮かべるのだ!
ただすぐに何かを思い出したようで、
プリンを食べた幸せに包まれいた笑顔から一転して、
急に心配そうな顔をして俺を見てきたかと思ったら、
「そういえばアマクサ様は怪我とかはしていないのですか?
何か私に隠しているような怪我があったりしないですよね?」
「……何で? 急にそんなことを? 怪我はどこにも負ってはいないけど……」
エトワールから急な変な質問に首を傾げてしまう。
そんな俺に対してエトワールは昨日の出来事を話してくれる。
「いえ、いつもケガはないかと聞かれていて、昨日も聞かれたのですが、
昨日の聞き方がいつもと違っていたのです」
……どういうことだ?
そもそも毎回俺にケガがないかと尋ねるってどういうこと?
そんなの俺の姿は毎日のように教室でソレイユ王女の視界には入っていて、
ケガをしていないことなんて分かるだろうに……
……それとも俺は有象無象と一緒でソレイユ王女の視界には入っていないとでも?
疑問が湧く中で、エトワールに尋ね返す。
「……違っていたとは? どういう風に違っていた?」
「ええっとですね……私が感じたのは、しつこいという感じです。
いつもは『元気にしておりますよ』で、あとは時事報告をしているのですが、
昨晩はどこかに怪我はないかとか、何か隠していることはないのかと
何度も何度も尋ねてこられました。
だけど、ダンジョンに行く前も行かれた後も私と一緒にいるので、
アマクサ様がどこも怪我していないのは知っておりますので、
その質問の都度、『ケガはしておりませんよ』と回答したのですが……
どうしてこんなにしつこくアマクサ様の怪我の有無を聞いていくるのか
分からなかったのです」
「……なんでだろうね……心配して? とかは、ない気がするけど……」
そんな俺の言葉にエトワールは頷いて、
「そうですね……心配しているとは、少し違う気がしますね……
私の受けた心証ですが、何かが起きていて、アマクサ様がそれに関与しているのか、
もしくは知っているのか、もしくは巻き込まれていないかを
気にしているといった感じでしたね」
そこまで言われて頭に思い当たることが浮かんできた。
まだ冒険者達の中では、噂話程度になっているのだが……
「……ホットな話題をソレイユ王女は、すでに知っているってところかもね……」
俺の言葉を聞いたエトワールは首を傾げて、俺に尋ねてくる。
「ホットな話題とは?」
「今、冒険者達の中では、とある冒険者達に会っていないかと
ギルド職員から聞かれていることがあるのだよ。
その冒険者っていうのが、二つ名を持つほどの強力な冒険者で、
それぞれが“雷帝”と“死神”って呼ばれているんだ。
その二人の冒険者達を見ていないかって最近ギルド職員から尋ねられることが、度々あってね。
俺も尋ねられたけど、会ってもいないし、わからないって答えたのだよ。事実だからね」
俺の言葉がを聞いて一部は納得したようだが、
それでも疑問はすべて解決していないようで、
「……なるほど……ただ、なぜ尋ねられたことが冒険者達の中で話題になっているのが、
腑に落ちませんが……」
そんなエトワールの疑問に対して、俺はああっと言葉を漏らしてから答える。
「それは、その後にギルド職員から
『このことは内緒にしてくださいね。当人達が聞いたら、
仕事を押しつけようとしているとわかってしまって、
今でも来る頻度が少ないというのに、また一段とギルドに出てくるのが
億劫になってしまいますので』
って、やんわりと口止めされているのだよ」
「……なるほど、そう言われると逆に話題に上がってもおかしくないですね……
ギルド職員の方がおっしゃっていることを額面通りには受け取らず、
いろいろな噂が沸き上がってしまいますね」
妙に納得しているエトワールに、俺はふと思ったことを口にする。
「もし冒険者達の間で流されるのが分かった上で流したのなら、
面倒くさい相手が仕掛けていることになるけどね」
「? どういうことですか?」
俺の言葉の意味が分からないようで首を傾げるエトワールに対して、
「この場合だと2つだね。
1つは、逆に口止めすることで面白がって余計に広まっていくことを考えていて、
そうすれば雷帝や死神の耳にも入る可能性があるって事。
それでもう1つは、こんな噂が冒険者達の中で広まっていけば、
冒険者達が意識を当然するようになるから、
見つけた場合に報告されやすくなるってことだろうね……
そもそも論として、二人が生きていることで話が進んでいるけど、
ギルドの中では雷帝や死神は、死んでいないと認識しているのかな?
まあ、普通にこの2人が死ぬとは考えづらいのは分かるけど……」
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