あの日の指切りげんまん。
遠い約束だと思っていた。
あの日から指折り数えて、知りたいこの日は消えていた。
無為のうたた寝、有為な寝返り。
身近な未来は、軽薄な過去になっていた。
遠い約束だと思っていたのに。
指折り数えることをやめたあの日から、消したいこの日は花弁を無作為に摘んでは近づいた。
好きか嫌いで言うのなら、口をつぐんで告白します。
疚しい気持ちはそのままに、ひと夏の作り話を準備して。
やり直しは効かない約束とは聞いてない。
ほんとは、知らないふりして聞いてないわけないじゃない。
あの日の遠い約束が叶ってしまう。
寝苦しいうたた寝、瀬戸際の寝返り。
忘れたい約束、手縫いの帳、覗いて見えるは悔やみ顔。
消したい約束、手縫いの帳、覗いて見せるは白み顔。
針の筵で見る夢は、途方もない告白から語り出す。
この日に遠い約束を破ってしまえ。
これでいいか悪いかで決めるなら、瞳を閉じて指切った。