アカウント名:地球の初心者保護期間の終了。それ故のハードモード。
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後に「始まりの夜」とされる2222年2月22日の夜。
上空に、渦巻いた紅き雲が発見された。
それが発見されたのは、日本だけではなかった。
その渦は、徐々に大きく膨れ上がり.....
「始まりの夜」から1週間後。
それは起きた。
「gy-gy-gy」
理解できない言語で会話するのは、全身が緑色の小人。
.......俗に言う「ゴブリン」であった。
「ゴブリン」が出現すると同時に、
システムメッセージが鳴り響く。
《アカウント名:【地球】の初心者保護期間は終了致しました。》
《これより【地球】の難易度は
【ノーマル】から【ハード】に変更されます》
《では、ゲームをお楽しみください》
その言葉を待っていた!と、ばかりに
「ゴブリン」はニチャァと嗤う。
手に持つは、こん棒。
人々は、我先にと逃げ出した。
逃げる者もいれば、戦う者も存在する。
その存在は、身長170cm程の高校生。
ファンタジーが好きな年ごろである。
彼は武器を手に取った。
その装備とは....
「来てみろ、ゴブリン!」
「歴代の勇者は、「ひのきのぼう」で戦っていたんだ」
「鉄パイプで負けるわけがない!」
そう。鉄パイプと、
おなべのふた....
ではなく。ゴミ箱のふた(プラスチック製)
であった。
「gy-gy-gy!!」
こん棒を力任せに振り下ろす「ゴブリン」。
その力任せの一撃を、彼はゴミ箱のふたで受け止めた。
その瞬間、脳に機械音声が響き渡る。
《【盾術1】を獲得しました》
スキルを獲得したことで、彼の動きは格段に向上した。
時には、ゴブリンのこん棒を弾いたこともあった。
すると。
《【パリィ1】を獲得しました。》
【盾術】と【パリィ】。
2つのスキルを獲得したことで、彼に攻撃を当てる事はほぼ不可能になった。
そして彼は、攻めに転じる事にした。
「えいっ!」
「gy-gy!?」
「なにぃ!?」と言っているであろうゴブリン。
鉄パイプの一撃を顔面にくらったゴブリンは...
一瞬、怯む。
たかが一瞬、されど一瞬。
その刹那の「隙」は、彼が鉄パイプを振り下ろすのに十分すぎる時間だった。
彼は、ゴブリンに鉄パイプを何度も当てた。
「gy..gy.....g....」
煙になって消えていく緑の小人を見ながら、彼は言う。
「あー...つかれたー...」
なんとも緊張感の無い言葉だ。
その直後。
《「ハードモード」での初討伐を確認。》
《報酬スキル:【装備アップグレーダー】を授与。》
《ハセガワ ハルのレベルが1になりました》
《設定をしてください。》
《「ハードモード」での最初のレベルアップです。》
《報酬スキル:【成長補正・極】を授与。》
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ハセガワ ハル 人間 レベル1
職業 《設定してください》
筋力3
耐久2
敏捷2
器用1
魔法1
耐性2
スキルポイント100
強化ポイント 100
通常スキル
盾術1
パリィ1
報酬スキル
装備アップグレーダー
成長補正・極
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ゴブリンを討伐した後、彼は家に向かって歩き出した。
帰り道。
道に落ちていた、「ゴミ箱のふた」を拾った。
その時だった。
《「ゴミ箱のふた」を強化しますか?》
《Y/N》
ステータスの様な青い画面が現れ、選択肢が出てきた。
よく分からないが、「強化」するならデメリットは無いだろう。
そう考えたハルは、Yを選択した。
すると。
《強化成功。「ゴミ箱のふた+1」が完成しました》
ブオン、と音を立て現れるもう一つの画面。
そこには、装備のステータスが表示されていた。
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鉄パイプ:レベル1
攻撃力18
ゴミ箱のふた(+1):レベル1
防御力17(+5)
布の服:レベル1
防御力8
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世界は変わった。
平和は終わった。
故に。
彼は、家に向かう足を止め、工事現場へと歩き出した。
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