ショートストーリー 男の電話番号
朱実は高校受験に失敗して他県の二流女子学園に行くことになった。
私立では一応名が通っていたお嬢さん学校だ。
寮に入ることなく一般のワンルームマンションに住んでいたが
ある日おじいちゃんがやって来た。
朱実の様子を見に来たのだが部屋中を見渡していた。
当時は携帯電話もなく部屋に隅には白い小さな電話機が置いてあった。
その前に男の名前の電話番号を小さく書いてセロテープで貼り付けていた。
それをじいちゃんは見つけたが何も言わなかった。
朱実は何も心配していなかった。
別にやましいところはない。
その数日後
先生より職員室に呼ばれた。
何だろと思った。
職員室に呼ばれるようなことはしていない。
何の心当たりもない。
朱実を連れて保健室に行った。
何故と思った。
保健室で何をするというのだ。
保健室に行くとそこに座りなさいと言って目の前のイスに座るように命じた。
そして
昨日君のおじいちゃんからコピっとく叱られたと伝えた。
君のおじいちゃんは私が君の担任の先生であることを知らなかった。
誰かと間違えているようだった。
まるで不良少年のように説教されたよ。
君と付き合っているようにも言っていた。
君のおじちゃんって頑固そうだね。
怖いおじいちゃんだ。
今度おじいちゃんに会えば私は君の担任の先生ですと言っておいてくれないか。
どうも何か勘違いしているようだから。
朱実はその時ハット気付いた。
朱実のワンルームマンションの電話機の前に先生の電話番号をセロテープで貼り付けていたことを。
おじいちゃんはそれを覚えていて家に帰ってから電話したんだと。