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ジャッカルの黄昏~VRMMOロボゲーはじめました!~  作者: 雑種犬
第3章 騎士王討伐に備えよ!
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32 初戦勝利!

「……おっ、予想通りに残りはこっちだ!」


 私たち3人がモスキートを撃破した時にはすでにいつの間にかヒロミチさんは移動を開始していたようでマップ画面に3つの赤い光点が表示された。


「……りレーダー…………、通信障害に注意しろッ!!」


 続くヒロミチさんからの通信にはノイズが混じっている。

 さらにマップ画面に表示されている敵位置もタイムスタンプが2秒ほどズレていた。


 西方からこちらへ向かってきているのは「オデッサ」「ニムロッド」「マートレット・メデック」の3機。

 マートレット・メデックとやらは初めて見る機種名だが、オデッサとニムロッドは


「そちらに追い込む。……ルに注意しろよ!」

「ハァ!? 何だって?」


 マップ上の敵位置が更新されるともう敵チームは丘一つ越えると姿を現すという所まで来ていた。


 私たちの西に敵3機。

 その敵チームを丘陵を使って上手くチラ見しながら時計周りで回りこもうとしているヒロミチさんの烈風。

 敵現在地のデータは更新がとびとびながら、ヒロミチさんを意識してか速度を増しているように思える。


 ヒロミチさんもそれを見越して「そちらに追い込む」と言っているのだろう。

 彼が後ろを突こうとしている動きは向こうも把握しているのだろうし、私たちの位置だって敵はモスキートから受け取っているハズ。


 敵チームは挟み撃ちにされるよりは前へ出て丘陵を越え、烈風からの射線を切るつもりなのだ。


 なるほど。敵の進行速度を見る限り機動力特化の構成にしている烈風を追えるとは思えないし、烈風が私たち3機と合流する前ならば敵も3機と数の上ならイーブンだ。


 ただし、それはチーム間の機体ランク差を考えなければの話。

 こちらがランク4.5が1機にランク4が2機なのに対して、向こうはランク3が2機と、マートレット・メデックとやらのランクは分からないがランク1のマートレットの系列機と考えれば高くても3くらいではないだろうか?


 だが折角、偵察役を買って出てくれたヒロミチさんが何かに警戒を呼び掛けているようだが金属成分を多分に含む土煙がもたらす通信障害によってそれを聞き取ることができないでいた。


「サンタモニカさんは聞き取れた?」

「い、いえ。こちらも……」

「もう来るぞッ!! お嬢ちゃんたち!!」


 とりあえず私たちはそれぞれの銃器の弾倉を交換して敵が丘を越えてくるのを待ち構え、私は狙撃ポイントを移る。


 たとえ敵が何かを狙っていようとヒロミチさんがこちらに合流し、敵を挟み撃ちにする事ができればこちらが有利になるのは変わらないハズ。


 つまりはそれまでの数十秒間が勝負だ。

 ………………

 …………

 ……来た!


 最初に丘を跳び越えてきたのはライトブルーのニムロッド。

 続いてイエローとモスグリーンの迷彩柄のオデッサ。

 最後にコンテナを背負った白いマートレット。

 ニムロッドとオデッサには機体各所に箱状のオプションパーツが取り付けられていた。


 3機の敵機はこちらを確認するとホバー走行を開始して距離を詰めながら、それと同時にニムロッドとオデッサが装備している箱状の物体のカバーが吹き飛んでその内部に収められている物が露わとなる。


「ミサイル!? ヒロが言っていたのはコレかッ!?」

「迎撃が間に合わない! 各機迎撃はCIWSに任せてニムロッドに攻撃を集中してッ!!」

「りょ、了解でごぜぇますわ!!」


 ニムロッドをオデッサのミサイルポッドから次々と小型ミサイルが発射され、さらに3機の敵機は手にした銃器でこちらへ射撃を始める。


 このゲームのミサイルランチャーの性能諸元には「同時発射可能数」という項目があり、低ランクのランチャーはランチャー1基につき1発か2発ずつしか発射できないものだが、敵チームはミサイルポッドを幾つも装備する事でその制限を疑似的に緩和しようというつもりなのだろう。


 こちらにだってミサイル迎撃用のCIWSはある。

 幸いにもCIWSが固定装備ではなくオプション化されているトヨトミ系の機体である中山さんの紫電改ですらちゃんとCIWSを装備していた。


 だがさすがにミサイルの数が多い上に敵との距離が近い。

 距離が近いという事は迎撃までの時間も少ないということ。

 さらにミサイルの他に敵が持つライフルの火線だってあるのだ。


 そこで私は咄嗟の思い付きだが、自チーム3機の攻撃を敵ニムロッドへ集中させる事を提案していた。


 装甲防御よりも機動力に性能を振っているニムロッドもゴテゴテとミサイルポッドを装備しているためにその動きは鈍い。


 こちらの攻撃を回避するためにホバー走行で機体を左右に振ってはいるものの、それはただいたずらに速度を落としているだけにも見えた。


 飛び上がったミサイルを相手にこちらの3機のCIWSが火を吹き始め、小口径機関砲弾が赤い線となって次から次へと撃ち落としていき空中に爆発の花を作り出す。


 クリスさんのカリーニンも中山さんの紫電改も私の提案通りにニムロッドへと攻撃を集中し、私自身も膝撃ちの状態で敵を狙い撃とうとするが……。


「CIWSの振動で照準が安定しない!? なら連射モードで……」


 距離は近い割にレティクルがガバい。

 私は咄嗟に照準モードのセレクターを連射モードに切り替えて弾幕を張る。


 ダダダ! というよりかはダンダンダンッ! という低レートの連射ながらもカリーニンのアサルトカービンと紫電改のサブマシンガンの射線を掻い潜っている敵ニムロッドの動きは小刻みなもので数発目の84mm砲弾は敵胸部装甲に直撃。


 ニムロッドの傾斜装甲も84mmバトルライフルの直撃には抗し難く一気に敵はバランスを崩して、そこに味方の射撃が集中する。


≪小隊メンバーがニムロッド:カルニちんを撃破しました! TecPt:4を取得≫


「やった!!」

「次はオデッサだ。コンテナ付きはメデックってんだから衛生兵役なんだろうけど、この状況じゃ回復はできねぇだろ!!」

「了解でごぜぇますわ!!」


 私の思ったとおり、とっとと倒し易い方を倒してしまえばミサイルの発射数は半分ほどになる。

 敵のミサイルを迎撃しきれないというのなら、ミサイルを発射する機体を減らしてしまえばいいというわけだ。


 残る敵のミサイル持ちはオデッサだけ。

 ニムロッドが減った事でこちらの迎撃能力には余裕ができている。


 幸いにもこちらの被弾はクリス機と中山機がそれぞれミサイルを1発ずつ。

 他にクリス機は数発の砲弾を受けているようだが、その装甲もあってか貫通弾は少ない。


「サンタモニカさん、クリスさんの援護を!!」

「心得ております!」


 クリス機のHP残量はまだ6割ほど。

 それでもリスク分散を考慮して中山さんに援護を要請。

 その返答を言い終える前に紫電改は飛び出していく。


 私も前に出るべきかと思ったが、2機の後ろにいる私が前へと行くには少し時間がかかる。


 ここはしっかり腰を据えて援護射撃を行い、少しでも早く敵を撃破する事こそが私にできる最大限の援護だろう。


 連射モードのままトリガーを引き続ける。


≪小隊メンバーがオデッサ:ジャン!を撃破しました! TecPt:5を取得≫


 クリス機の2丁拳銃が至近距離がオデッサを撃ち抜き、そのままオデッサの残骸を抱きかかえるようにして盾にする。


 残るはマートレット・メデックのみ。


 だが、オデッサを撃破してすぐのタイミングで烈風が丘を跳び越えてきてガンポッドの連射を敵の背後から浴びせ続けて撃破。


≪小隊メンバーがマートレット・メデック:ピョンピョンを撃破しました!≫

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