88話 救出作戦①
「じゃあ挑む方向で、情報をまとめるね。」
改めて、広げられてる地図で大まかな位置の確認。
「前にも言ったけど、『発生源は古代遺跡にいる』。これがギルド側も持ってる情報。
具体的にはここ、『横たわる角塔』。レミレニア付近のは、そこしかない。」
「なんでそこまで分かってるのに、まだ誰もかいけつに行かないのです?」
「大きすぎるのよ、規模が。
倒壊した塔がいくつもあって、それが広域に渡って点在してる。
加えて神話時代の大乱の影響で、中の空間が歪んでるらしいの。だから実質的にはさらに広域になる。」
そう言いエンが指し示した範囲は、まともに探索したら気が遠くなりそうな広さがあった。
「魔力的な歪みはこの全域に渡ってるから、観測上の魔力濃度もあくまで推定でしかない。
発生源も『この範囲内のどこにあるか分からない』というのがギルドの現状。」
「けど、エンはその場所を知っている、と。」
「おおよそはね。近くまで行けば細かく特定できると思う。
で、そのおおよその場所はここ、濃度210地点。銀板での探索範囲内。」
そう言い指た場所は、探索範囲のかなり端の方。
「行けちゃうもの、なのか。」
「こんな状況への柔軟な対応なんて、お堅い奴らにはできないもの。
形式的に観測点から濃度を観測して、250以下なら銀板の探索範囲内とする。そのルールに縛られず随時対応なんて『面倒な事』は、行われていない。
というか、濃度分布の更新状況からして、調査も碌に行われてないわね。」
「で、出会った後のやり方。」
エンが地図を片付け、次の話に。
「二人は普段通りでいい。時間を稼いでくれれば、術に乗じて接触できる。
そのまま解呪できれば一番楽ではあるけど、それで駄目なら次の段階。
ある程度打ち込んで魔力の支配域を取れれば、大技で一気に攻めれる。」
「そんなに綺麗に回るものなのか?」
口にした疑問に、エンが答える。
「…分からない。意識を探った所で、正気に戻せるか、意識に触れられるか、そもそも潜り込めるかも。
だから、駄目だと私が合図したら、あるいは無理だと判断したら。
その時は撤退するか…できれば、これ以上あの子の被害を出さないよう、私たちの手で。」
なるべく考えたくもないような想定であろうが、それでも決意の言葉を絞り出す。
「信頼する以上、現地でどう判断しても恨まない。
だから、あの子が一番苦しまないで済む選択をお願い。」




