81話 即断即決⑥
改めて剣を揺らすように振り、調子を確かめる。
ここ数日はほぼ休みみたいなものだったが、それまで連日剣を振り続けた疲労もあるのだろう。
戦えなくはない。が、目の前の流れるような連携には合わせられる気がしない。
せめて打ち漏らしから自衛できるよう、剣をしまい短剣を握る。
そんなさなか、突然の冷たい感触。慌てて一歩飛びのき、構える。
「…ラディか。びっくりした。」
「どうも。
あれが『銀板級』、というものなのですね。」
「あぁ、ギルドの主力格たちだ。
…ラディは、あれくらいの戦いについていけると思う?」
少しの思考時間を経て、ラディが答える。
「水がたりてれば、たぶん。」
「だよなー、ラディなら慣れればいけるだろうなぁ。」
改めてここから見える限り、戦いを観察する。
まず槍の人がリーチの長さを最大限に活かし、先手を取る。
追従する何本もの炎が背後に壁を作り、奇襲を許さない。
出鼻を挫かれひるんだ魔物に剣の人が追撃、仕留めにかかる。その間に槍の人が次の標的を定め、炎も再び追従する。
一歩間違えれば味方の炎に焼かれかねない連携。自分が万全で助太刀しようにも、逆に邪魔になってしまいそうな程の。
そんな戦場の中、エンはまだ戦線にいる。
各方向のパーティの戦いの隙間、警戒が甘くなりがちな空中からの襲撃を的確に対処している。
エンの魔法では撃ち落とされても致命傷には至らないが、落下先のパーティが片付ける形で連携が取れている。
やっぱりいくつものパーティを渡ってきただけはあるんだよな。
なんて考え事をしてたら、薬屋の方から何やら物音。
慌てて距離を取るや否や、中から現れる四つ足の中型魔物。
弱音は許さない、とでも言わんばかりに襲い掛かってくる。




