79話 即断即決④
そこから先は、なるべく物事を考えないようにしながら動いていた。
エンからの伝達を、内容だけ抽出して把握した。
「上空をエンが、地上を自分とラディが半々担当。」
あとは来る敵の動きにだけ集中した。
1体目、四つ足。跳躍からの牙。
いつものように受け流す。舗装されたこの足場なら、教わったロンドラーレ流を最大発揮できる。
足を軸に受けた力を回転に変え、一周を加え首に振り下ろす。
その隙を狙った2体目の鳥型の一撃を、空いた左手の短剣で受ける。上空に退避しようとする所を、強引に剣を振りぬき腹を裂く。
3体目と4体目、同時に襲い掛かる四つ足。
受け流す形が見えない、あえて正面から受けて一歩下がる。
着地後、丁度高さの揃ったその喉に一閃。
直後に降ってきた5体目、蛇型。あまり相手をした事が無いタイプだ。
対処に迷いかけたが短剣で受け地に落とし、その首に剣の一刺し。
一旦攻撃の波が止み、周囲を見渡す。
…潜んでいる。弱った所を狙う奴らが、屋根の上や建物の影、そこかしこに。
数は多いがいずれも小型、冷静に対処すれば対処できるだろう。
そんな中で突撃してくるのが1体。眼が慣れてきた、受ける一手を省き、身を屈めてかわし、すれ違いざまに一太刀。
そのまま直感任せに背後に大きく一振り。何かに当たる感触が複数、強引に最後まで振り切る。
地に投げ出される四つ足が3体、急所は捉えていなかったが小さい体躯には満足に動けないだろう深手。
だが、こちらの腕への負担も大きい。剣がいつもより重く感じる。
咄嗟の案。剣を放り、短剣を持ち替え右に逆手で持つ。
続く空からの襲撃を、空いた左手からの火花で晦ませかわし、その軌道に短剣でカウンター。
刃が獲物を捉える、が、2つに分かれる影。1体は地に落ちるが、もう1体は背後で旋回。
放置はできない。が、対応の隙を狙われるだろう。
とは思いつつも、反射的に背後に警戒を向ける。
視界の端に四つ足の呼び動作が見えた。
目晦ましが利かない距離、鳥型相手に短剣1本で対処できる気もしない。
それでも一か八か、まずは鳥型を一撃で墜とし、その後追撃のを──
目の前を銀色が横切る。
槍が鳥型を貫き、地に打ち捨てた。




