78話 即断即決③
空から鉤爪が襲い掛かる。
慣れない相手、あわよくばの願いも込めてカウンターで剣を振る。
鳥の魔物が大きく軌道を変え、空中に退避。
まだ敵視されてはいるが、僅かな一息。
全身が真っ黒な鳥の魔物。小柄で攻撃力は低いだろうが、非常に捉え辛い。
「薬屋」に向かうのをエンの光線が妨害、自分も後を追う。
その道中でエンの弾幕回避で魔物の高度が下がる。
咄嗟で剣を振るうがギリでかわされる。ならばと火球の追撃。
動きが止まったままふわりと浮き上がった所に、エンの一撃も命中する。
落下してきた所をラディが確保したところで、背後遠くから声が。
振り返り確認、出元は多分この魔物が飛び出してきた所だ。もしかして探している?
ラディが氷漬けにし、とりあえず無力化。
が、事が起こってるのはここだけではないだろう。
「他の所でもいくらか魔力の動きがあった。多分、この付近に集まってくる。」
屋根の上から降りて来ながらエンが言う。
そして、氷漬けになっている鳥魔物を一瞥。
「…とどめ、代わりに刺そうか?」
弱ってはいるが、まだ息はある。
しかしさっきの飼い主が脳裏にちらつき、判断が鈍る。
「…こいつも、これまでのも、ああいう探してる人が居たんだよな。」
「かもね。でも、御せる力も無いのに薬で無理矢理従わせてた、歪な共生関係。
終わらせる方が、道理というものよ。」
鳥魔物を貫く光魔法の一閃。動けない相手に対し、外す訳も無かった。
「分かってる、つもりではいる。けど……。」
「甘い決断をして、その被害の行き先は無関係な一般人。
どっちを優先すべきか、考える事ね。」
頭では分かってる。けど、無意識にラディとの関係を重ねてしまっている?
……。
少なくとも今は、迷うべきじゃないな。なるべく考えないよう、逃走した魔物を殺す事に意識を。




