73話 情報②
「『思い当たる節がある』というのは本当なのか?」
その日の夜の酒場、丁度見かけたハルドレーンさんに伝える。
「まだ確証には至ってないし、都合が合いすぎて思い込みとすら疑うくらい。
いくらか情報確認したい点もあるし。」
「曖昧でもいい。情報が少ない現状だ、少しでもある方が助かる。」
改めて思考の中で順序整理し、資料のページを探してテーブル上に広げる。
「この解剖記録の食料に『未登録の葉の成分』とあるけど、具体的にはどういうものが?」
「登録薬草の事か。
専門外だから正確な子細は情報を探さねばならぬが、今はおおまかには周囲の森の南4割程に自生する薬草類、及び登録届出のある栽培によるもの。それが『登録』の範囲だ。
だからそれ以外の場所、調査が滞ってる北から来たという見解が有力とされている。」
「『今は』?」
「周囲環境の変化で変質し、薬草足り得なくなる事も少なくない。だからある程度調査されなかった場所は解除される事になっている。」
「じゃあ、南にある離れた森、あそこのは登録外?」
「あぁ。以前はあそこも環境調査が行われていたが、毒性が強くなって薬草として使える物が減った事、それに対する調査継続のコストの高さから、登録薬草からは外されてるな。
…その様子だと、情報にブレは無いようだな?」
「確信めいてくるのが、逆に怖いくらいには。」
「ならば聞こう。『思い当たる節が』とは何だ?」
資料の発生分布地図のページを開く。
酒場に来る途中でラディにも確認した。予感がした場所は、見事に的中していた。
「この分布の中心にある住宅街、そこにある正体不明瞭の薬屋。
ここまでの情報が一致してる、恐らく事の元凶かと。」
「その立地以外の根拠は?」
「以前、その店は南の森の薬草類を仕入れてた事があった。そのものかは分からないけど、可能性高いと思う。」
「その情報は確かなのか?」
「…その仕入れをしてたのがラディで、採取の最中に出会ったのが始まり、という経緯があって。」
「……なるほど。」
どうやら、妙な納得をされたらしい。
「関与に関しては不明瞭ではあるが、どちらにせよその仕入れが事実なら違法として強行調査はできる。
だが、その話に動員するにはもう一押し、物的証拠が欲しい。資金は勿論作戦予算から工面する。
…その店の品の確保、やってくれるか?」
「僕自身も入った事も無いから、そう簡単に買えるかどうか……。」
「私よりはまだ知ってるだろう。それに、金板級であるが故に下手に動けないのもある。
だからこの一件、頼まれてほしい。」
「…分かりました。」




