65話 決意と共に①
「本当に大丈夫なのね?」
エンからの念押しの確認。
「あぁ。
何かあったら責任は僕が持つ。エンもそのつもりでいてくれ。」
「…一応。期待はしておくね。」
閑話休題、改めてエンが話を切り出す。
「それで、これからどうする?」
僅かだが触れた濃度130の世界、「関門の獅子」の存在。
奴との接触を回避するか、前みたいに撃退するか。いずれにせよ、対策は必須。
そして、第一案は既に決めてきていた。
「『関門の獅子』を、討伐できればと思ってる。」
「…正気? 直に戦ったあなたが、一番力量差を知ってるはずよね?」
「分かってる、現実的に厳しい事くらい。
けど、大きな功を立てて早く銀板級試験を終わらせる。安全を取ろうとするより、その方がいいと思う。ラディの為にも。
『関門』だなんて呼ばれて伝統行事のような扱いをされてても、結局は誰かが倒さなきゃいけない脅威なのは変わらない。だろ?」
「…前者はともかく、後者は同じ事を考えた冒険者は他にもいる。その上で、今もなお徘徊している。つまりそういう事よ。
前にも言ったけど、『関門の獅子』は打たれ強さと逃げの判断・逃げ足の早さを強みとする。
撃退と討伐では、難度が違いすぎる。」
「けど撃退するにしても、討伐するくらいの気持ちでやらないとできないと思う。実力差があるからこそ。
それとも奴の接近を奴よりも先に感知して回避できる?」
「…それは無理。前の時も全力で探知をかけてたけど、あっちの探知範囲の方が上だった。
魔力濃度が濃くなると魔法での探知は難しくなってくるし、眷属となると魔力の質が似るから余計に難しい。
足音での探知もあの一帯での経験が少ない現状では、特定して探知するのは現状では無理。」
エンが一息つき、言葉を続ける。
「分かった。
最悪の場合、正面切っての討伐戦まで視野に入れておく。ただしあくまで他に手が無くなった場合の最終手段、基本はこの間と同じ撤退戦として考える。
それでいい?」
「おっけー、了解。」
そう答え頭では納得はしたが、やはり討伐の意気込みは完全には消えなかった。




