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真水のスライム  作者: ふぃる


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62/228

62話 再起動①

「…一先ず、事情は分かった。」

 翌日の酒場。とりあえずエンには一通りの事を伝えたところだ。

「その…ごめんなさい。」

「私も思慮が足りてなかった。

 それで、今日の続行は厳しそう?」

「はい。…ごめんなさい。」

 昨日よりは多少良くはなったが、言葉の抑揚はやはり少ない。

「いえ、そんな事も見越せなかった私もどうかしてたし、そこはお互い様。

 とりあえず考えるべきは、銀板級試験を続行するかどうかね。」

 確かに試験を中断するなら、一旦問題は解決するだろう。

 だがラディが冒険者としてやっていくなら、いずれは直面する問題。これを機に解決してしまいたい。


 昨日一晩考えたが、手早い綺麗な解決案は出てこなかった。

 部位が弾け飛ばされる大技はもちろん、爪や牙の裂傷なんかも受けたらバレてアウトだ。

 修練所でのラディの成果を見る限り、そんな無傷の立ち回りを要求するのは無謀だ。自分ならまだしも、ラディは近接戦闘は完全に素人。それとなく形にはなってきているが、対魔物に関しては未経験。

 無難を取るならば一先ず試験は中断、旧来のランクの依頼を回して改めて経験の積みなおしからだ。すぐに解決できる方法ではない。


 ならばいっそハルドレーンさんに事を伝える? 無いとは思うが万が一のリスクを抱えながら?

 もしもハルドレーンさんが排除しようと動けば、この街にはいられなくなるだろう。金板級の影響力というのは、そういうものだ。

 鎌をかけしたりでそれとなく安全を取ろうにも、そういうタイプの話術は苦手だ……。


 …どうせならだ。

 一旦休みを挟むなら、自分も思いっきりリフレッシュしてこよう。

 思考が凝り固まって狭くなってしまってるのもきっとあるだろう。

 それで思い浮かばなかったら、時間をかけてでも安全な選択をしよう。


「僕の方で対策を考えておく。その上で、明後日結論を出したい。」

「分かった。休止の事は私から伝えておくから、しっかり休ませてあげてね。」

 エンならうまく誤魔化してハルドレーンさんに伝えてくれるだろう。

 タイムリミットは定まった。それまでに何か……。

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