6話 繁華の街レミレニア①
残る行程は何事もなく無事進み、森を抜け。
そして遠くに見えてくる連なる防壁、その向こうに並ぶ建物。
幾度となく夢に見た、新しい生活の場の予定地。
高まる気持ち、荷物が重いのも気にせず、早足になっていく。
疲れを感じはじめる前に、気が付いたら到着していた。
外壁を兼ねた砦を抜けると、そこはもう別世界。
観光客であふれ、華やかな店の数々。
ここら一帯の大都市の中心にあるレミレニアは、交易商たちの交差点。当然この場で商売も行われ、各地の名産がこの地に集まり。
そして品々を求める人が集まるようになり、街として発展していった。
…と、旅の冒険者に聞いた。
まず待ち構える、入り口広場。その外周を囲むように立ち並ぶ食の屋台。
見た事も無い料理たち、しかしあふれる匂いはお構い無し。肉が香ばしく焼ける匂いにつられ、鉄板で焼かれる音が、飛び交う音を押しのけ存在感を放ってくる。
かと思えば大通りを横断する人が持ってた一品。辛うじてベリーが見えた事から甘味の類だろうが、見た目から味が想像できない。
スパイスの香りがするパイ、何らかのチーズ焼き、異様な色をしたパン。
全方位からの誘惑に耐えながら、歩を進める。何事もまずは荷物運びを終えてからだ。
道中の通りは一転、相変わらず人は多いが静まった空気。
脇の店には外からも見えるよう陳列された工芸品。木彫り細工から、魔術で炎が模様を描く蝋燭まで様々。
そして合間にある、旅の用品店。その窓からちらっと店内に見えた、魔動力結界テント。…見た事はあったけど、高いんだよなぁ、あれ。
そんな事を考えながら、ラディの案内は細い路地へと向かっていく。