50話 あるべきところ⑤
「……で、早速運動してきたわけね。」
休み明け、昼間の酒場。
一通りの事を、エンに説明し終える。
「ま、午前の行動までは縛りはしないけど、午後の本番に響かない程度にね。」
「分かってる。これ以上パーティ戦力を下げるような事にはしないよ。」
そんな事は無い、というハルドレーンさんの推測ではあったが、やはり自分には分からない管轄外の事。
抱えて不安を残すくらいなら、エンの考えを確かめておきたい。
「これ以上? 他にも何かあるの?」
「いや、ほんとならもっとこう、守りながらも攻めにも乗るべきだろうにさ。
ただでさえ現状でも戦力として怪しいのに、これ以上落とす訳にはいかないよね、って。」
「…見えてるようで、大して見えてないのね。」
ため息ひとつ、エンが続ける。
「私の雷、小回りが全然利かないのよ。
確かに威力ではそこらの術士に劣るつもりはない。範囲も速度も、撃てば当たる、と言ってもいいくらい。
でも、それは私が完全にフリーでいる場合に限る。」
「…というと?」
「腕輪を介して合成属性を使ってる以上、どうしても両手がふさがる。その時点で、私の方に攻め込まれたら対処のしようがない。
自分で安全を取ろうにも、樹上なんかだと手もふさがるから無理だし。
加えて腕輪で属性を変換した時に生じる流れの乱れ。ちゃんと制御するには、かなり集中する必要があるの。
だから私単騎じゃ光しか使えなくて威力不足。制圧は得意だけど、制圧までしかできない。
…銀鞭の時の誘導、あれが限界。トドメのひとつも刺せやしない。」
確かにあの追跡で、ずっと仕留めれてなかったのは気になってた。
「だからあの威力と精度は、魔物の攻撃を全て受けきってくれるセイルが居るから出せてるの。
…結構頼りにしてるのよ?」
素直に受け取りたい言葉だったが、そう容易にはいかなかった。
むしろ現状の理解が進んだ事で、より強い確信に変わった。
光の制圧と雷の威力という、使い分けれる強い手を併せ持つエン。
ラディも遠近両用、意欲の高さと無敵による試行錯誤の成長余地の塊だ。
それに対し、自分は……。




