43話 追撃戦④
銀色の骸が地に落ちる。
ラディの短剣も回収し、自分のと合わせて血を振り払う。
ついさっきの自分の行動が、未だに受け入れがたい。
守りの択を捨てて選んだ、一撃必殺のカウンター。
もし狙いが外れたら、間に合わなかったら、相手が最後の意地を見せたら。
ひとつでも違えれば血を流していたのはこちらの首だった。
…いや、考えるのは今じゃない。
深呼吸ひとつ、気持ちを整え、締めの場へ。
「ラディ、行くよ。」
「はいです!」
最後の標的を探すのは簡単だった。
エンの戦闘は、木の隙間の遠く向こうでも分かりやすい。
駆け足で閃光の方へ向かう。
一定のパターンを繰り返していたが、こちらが動いたのを探知してかまたたきが早まる。
ならばこちらが合わせる方が得策、と剣を振れる程度の広さを確保し、構える。
「セイル、ぶつけるよ!」
エンの言葉と共に、ひときわ大きな輝きが1、2、3。
4のタイミングで剣にかかる衝撃を、身をひねり剣先に受け流す。
地になだれ落ちた銀鞭は、それでも反撃の隙を伺い、空中の内に体勢を立て直す。
しかしその出端を狩るのが得意なのがラディ。
狙い落ちる水の塊に抗うすべはなく、遊泳する刃の餌食となる。
「これで全部、で合ってる?」
前方の樹上から、エンが静かに降り立つ。
「あぁ、情報に間違いが無ければ。」
しかしあれだけ魔法を連発していたのに、疲労の色が一切無い。
もしエンが決定打に長ける、例えば炎使いだったりしたら、造作も無く単騎で仕留められていただろう。
…あんな危険な択を取らずとも。




