41話 追撃戦②
丁度よく差し出された「銀鞭の狼」の首から、直線状の血しぶきが走る。
まだ辛うじて息はある。が、最早戦力とはならないだろう。
念の為距離を取り、再び構える。あいつの後始末は事が落ち着いてからだ。
問題はここから。残りの奴らは、こんな一発芸のようにはいかないだろう。
最も厄介なのは数、隙を補い合う波状攻撃。
前回から変わりがなければ、残りの数は3匹。ただしあくまで予測の数、変動している可能性も一応考えの隅に置いておく。
遠くから降り注ぐ光撃、物陰から追い出される2匹の銀鞭。
…残りは逃げたか、それともまだ潜伏してるのか?
いずれにせよ、視野外の警戒はエンに任せよう。自分はまず目の前の2匹だ。
駆け出した勢いのまま、まずは1匹目が鞭の一振り。
種は割れてるんだ、素直に受ける訳にはいかない。横に軸をずらし、こちらから踏み込む。
縦に振る関係上、やはり横の範囲には弱い。広く見えていたものは、硬度の無いダミーの体毛か。
しかし間合いを詰められる弱点は相手も想定済み。
大振りな鞭の死角から、2匹めの噛みつき。
左腕の籠手で受けるが、素直に離してくれそうにはない。
身動きが取れない、そう思った丁度のタイミング。
2匹目に当たる衝撃。既視感あるそれは、ラディの援護だろう。
脇腹に深々と刺さる短剣。これで残りは目の前の1匹…と、おそらく隠れてる1匹。
数の上では追い詰めている。が、同時にすぐに優位を取れる手を使い切った。
あとは地力での勝負。
相手に動く気配が無く、こちらも迂闊に動けない。
エンが最後の1匹の相手をしてるのだろう、遠くで閃光が時折見える。
制圧力には長けるが決定打に欠く魔法。注意を引いてくれてるだけでもありがたい。
ラディはナイフを撃ったら乱入への警戒。事前にそう取り決めた。
あいつを信頼するなら、むしろこれ以上の援護は期待できない。
…村の頃の狩りを思い出す。
未熟なりに全力で戦っていたあの頃を。
今、力を借りずどこまで戦えるか。確かめるいい機会だ。




